23 やっぱり俗物だった。
しれっと会話が続きます。
『それは、キューカンバの趣味だ。』
ドレン老師は、きっぱりと言いやがった。
『まじすか?』
『まじまじ、美少女が戦う姿が萌えると言っておった。』
やっぱり俗物だったか。システムとかはともかく、見習いさんたちの訓練服や、リランカさんの衣装は、まんま、魔法少女だもんねー。わりと進化した先の歌って踊れそうなヒラヒラスタイル。あるいは月に代わってお仕置きしそうなレオタードだもん。
それでいて、全力での魔法発動は、なんかそれっぽいポーズとかもしてたけど。
『ぶっちゃけ必要ないですよねー。』
『プラシーボ効果以上にはないなー。』
なんやかんやうまく回っているけど、やっぱり、やばいな、この世界。
といった感じにドレン老師との話は終わり。ドレン老師は眠ってしまった。眠っているとただの木にしか見えず、色々考えながらボーとしている俺も、ただの卵にしか見えない。
「あ、リュー殿、お疲れ様です。」
「アッお帰り。」
夕方になり、ボチボチと帰ってきた見習いさんに運ばれ、そのままお風呂できれいに洗われ、神棚に飾られる。
「リュー殿のおかげで、訓練後の疲労が減るのはありがたいですわ。」
「うんうん、なんかよく眠れるから肌あれもへったし。」
「訓練メニューも見直してくれたから、これからもっと強くなれそうです。」
うんうんと適当にうなづきながらも、こっそりステータスを確認すると、僅かな時間でたしかにステータスが向上している。気になることは全員に「ランニングハイ」と「筋トレマニア」とかいうスキルがついていることだけど・・・。
やりすぎだ。ドレン老師の言葉じゃないけれど、精霊はその場にいるだけで影響が大きすぎてしまう。
完全に依存される前に、今の内に彼女たちは距離を置くべきなんだろう。
非常に惜しい気もするけれど。
「きひひひひ、それで俺に相談というわけだったのか、卵ちゃん。」
「はい、ぶっちゃけ孵化するまでは、どこかで静かに過ごしたいなーって。」
そんなわけで相談したのは、頼りになるヱンペル先輩だ。ドレン老師にも相談したけど、居場所を変えるならばヱンペル先輩に相談するのが一番とアドバイスをもらった。
「きひひひ、リランカとか見習いが聞いたら悲しむだろうけどな。孵化の準備という理由なら納得もするだろな。」
色々考えるまでもなく、俺は見習いさんの寮から出ていくことを計画していた。寮母のSさんとドレン老師、ヱンペル先輩には本音の事情を、他の人には、孵化の兆しを感じたので人里離れた場所でゆっくりしたいという言い訳を考えた。
「お前さんが気を使う必要はないんだけどな。この世界の精霊は自由だ。どこで何をしようとも文句はウ言われないし、言わせない。ましてお前さんはスペシャルだからなー。」
「ユニークではなくて。」
「ドレンのジジイから話は聞いてるんだろ。本来なら俺たち精霊もお前さんに頭を下げないといけないんだよ、卵ちゃん。きひひひひ。」
そう言われても自覚は持てない。
卵としては周囲の好意に甘えるしかないのだ。
「きひひひ、そういう謙虚なところはきらいじゃないぞ。」
投降期間が開いてしまい申し訳ありません。
内容が薄くて、投稿に迷ったこと。
別シリーズがクライマックスだったので、此方の執筆が遅れてしまいました。




