21 卵 説教される1
老師のお話
『もしエンペルじゃなかったら、消されてたかもしれんからな、お主。』
その言葉の持つ温度は冷たく、そして確かな切れ味を持っていた。
『はて?』
『お前さん、竜が何か理解しているか?』
ドレン老師の言葉に反応して自分のステータスを確認する。
ネーム リュー
種族 黒竜
状態 卵 健康
スキル 鑑定 自動防御 マニュアル防御 リジェネ 才能開花補助 スパルタ
よくわからないスキルが増えているけど、種族は黒竜、そして状態は卵のままだ。そういえば、黒竜であることを告げようとしたら止められたんだった。
あとで説明するって言ってたよなー。
『うむ、ヱンペルのやつは享楽的でノリで生きているところがあるからな。お前さんが適応しているようだから、放置して、忘れたっぽいな。』
『まじすか、今更ですけど、秘密にしないといけないことなんですか?』
ヒコロクさんなんかは黒竜様って、頭を下げてたよなー。てっきり精霊上位の一端なのかと思っていたんだけど。
『ふむ、ちと長くなるが、聞くか?』
『お願いします。』
『よかろう。しばしマテ。』
ドレン老師はそういって目を閉じる。すると急に周囲が暗くなる。
「うん、これは?」
「人避けの結界じゃ。ここから先の話は、間違っても人間には利かせられない話だからな。」
(ドレン老師の竜解説)
その昔、1人の異邦人キューカンバによってこの世界にもたらされた精霊という存在。わしらは魔力のよどみを浄化し、世界のバランスを保つ存在である。
気まぐれに人と契約して力を貸すことばかりが注目されるが、その浄化とバランスの役目こそが、キューカンバが求めた力だった。そしてそれは我らにとっては呼吸のようなものだ。
様々な姿や性質を持つ精霊は、この世界に受け入れられ、根付き、人々と共にあることを選んだ。
わしのように、一か所に留まりその場所を守ることを選んだものもいれば、ヱンペルのように戦いを欲するものもいる。平穏を好み山奥の集落でのんびりしているものもいる。
中には、巨大な力と振るったことで、神格化され、信仰の対象になっているものもいる。ブラックドラゴンウイングスなる組織なんかはその典型だな。あれは過去に存在した竜の形を模した精霊の面影を折っているのだ。
多種多様である我らだが、我らは、「精霊」だ。「竜」とは違う。
竜とは我ら「精霊」とは一段上の存在であり、我らを生み出す存在だ。
圧倒的な力を持つ竜は、本来は世界のバランスを保つための存在であったが、大きすぎる力ゆえに、世界へ与える影響が大きすぎた、それゆえ、キューカンバがいた世界では、竜の代行として我ら精霊が竜によって生み出され、世界のバランスを保つ役目を引き継いでいたのだ。
もっともそれをしてもなお、竜たちの力は大きすぎて、精霊の数は増えすぎていた。だからキューカンバが、精霊をこの世界に招き入れても、元の世界からは苦情はなかった。むしろ感謝されたぐらいだ。
ゆえにこの世界には、本物の「竜」は存在しない。
キューカンバと黎明期の精霊たちが世界をくまなく探索したが見つからなかった。空っぽ空席の世界なのだよここは。
しかし、お前さんが「黒竜」であるならば話が変わってくる。
今は卵であるお前さんが、成長し「竜」としての力を持ってしまった場合、自在に精霊を生み出し、殺すことができるようになる。何より「竜」の存在を正しく知った人間たちがどのような行動をとるかは、わしらでも想像ができない。
安心しろ、今すぐお前さんを同行する気はない。この問題を危惧したのはキューカンバだけで、わしらはどちらでもいいと思っているからな。
だが、古の盟約に従って「竜」という存在はタブーとされている。真面目な組織なはずなのに、ブラックドラゴンウイングスの小僧どもが世間的に白い目で見られているのはそのためだ。仮に魔法少女たちが、「竜」の存在を知ったなら、最優先でお前を排除するか、別の世界に送り込もうとするだろうな。
『なるほど、だからヱンペル先輩は口止めしたし、ドレン老師もこうして、こっそり教えてくれたんですね。ありがとうございます。』
『理解が早い。賢い子が好きじゃぞ。』
ひとしきり話をしたドレン老師の言葉に感謝しつつ、正直は実感はわいていなかった。
『それを踏まえて、お前さん少しやりすぎじゃぞ。』
リュー「つまるところは。」
ドレン「存在がやばいから、秘密にしてけ。」
設定をツラツラ書くのしんどい・・・
うまく説明できてたいいんですけど・・・。
チートどころか、神様に近い卵の今後はどうなる?




