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18 卵式、魔法少女強化計画

リューさんの知識チートな回

「もっと、もらってもいいと思うっす。これはリュー殿おかげっすよ。」

「いや、そうでもないんだよねー。」

 実際に現場を体験することは大事だと思った。仕事の難易度や危険性、そして報酬などを吟味したとき、俺の力は過剰戦力になりかねない。その上で、代用が聞いてしまう。

 そう思った俺は、次の日、訓練場にデイーとエーベルと共に来ていた。

「リュー様、もしや私たちに争えと?」

「勝った方と契約って感じすか?」

 いやいやどうしてそうなる?

「なに、その物騒なの?」

「精霊様の中には、大会を開いて優勝した魔法少女と契約するって言う人もいるっす。」

「ヱンペル様も実力主義ですわ、火の特性をもち一番強いからという理由でリランカ様と契約されていますし。」

 なにそれ、怖い。そして君たちは相変わらず仲がいいねー。これならきっとうまくいくだろう。

「これだけ一緒にいるとね、君たちの個性とか長所がみえてくるんだ。」

 デイーは努力家で一番、運動能力と反射神経、魔法を知覚する力にに関しては見習いの中でも一番だ。俺を抱えて走れることもそうだし、バリアを蹴って高速移動できるのは彼女ぐらいだ。ただ魔法の特性の関係で射程が短く、安全な場所から魔法で攻撃するという一般的な戦い方ができない。そして、それを補おうと必死に訓練した結果、オーバーワーク気味になっている。


ネーム ヘサカ コルディナ デイビス

 種族  マジックガール(見習い)

 状態  過労

HP   B

MP   C

攻撃   B⁺

防御   C

速さ   B

賢さ   D

適正  火、土

スキル  苦痛耐性 コルディナ流拳闘術 視力強化 動体視力強化 パルクール


「デイーは訓練のし過ぎだからね。自分のペースをつかめれば俺無しでもあの動きができるようになるよ。」

「はい、努力するっす。」

「「いやそうじゃないって。」」

 ツッコミが被るエーベルは、見習いの中でも一番期待されている。ステータスのバランスも良く、高速詠唱と高速詠唱という、魔法少女として理想的なスキルを持っている。実際、彼女の魔法は見習いの中でも一番早く、そして派手だ。一方でその魔法の威力に対して、身体が充分に出来上がっていないため本気で魔法を発動させると制御が効かなくなる。初めて俺と契約したときのアレは、本気で出力した時に起こる癖のようなものなのだ。威力を抑えていてもその威力は充分と言えるが、リランカさんやSさんを見ていると、まだまだ上があると思わずにいられない。ならいっそと思うが、


ネーム アンナ・フォン・エーベルヴァイン

 種族  マジックガール(見習い)

 状態  良好

HP   C

MP   B

攻撃   B

防御   C

速さ   C

賢さ   B

適正  火、雷

スキル  高速詠唱 ダブルキャスト 魔術格納 魔力集約

精霊適正  あり

 

「エーベルさんは、本気で魔法を使うことを怖がってるよね。」

「うっ、それは。」

「まあ、間違ってないよ、ただ制御と恐怖は別物だと思う。」

 人間はその筋力や脳の3割しか普段は使っていない。それは身体を守るためのリミッターだ。魔法に関してそれが当てはまるかは知らないが、エーベルの場合は、障害物を怖がって全力疾走ができない怖がりに見えてしまう。多少無理をしても、本気の練習をしないと上達はないように見える。


 と2人の課題は分かりやすく、口で言うのは簡単だ。ただ真のアドバイスは具体的な一歩目と将来的なビジョンの両方がなければならない。

「といわけで、デイー、まずはこれを真似たモノを、土魔法で作ってみて。」

 2人の前にバリアで作ったのは、直系1メートルほどの大きな円筒だ。横向きのそれの長さは3メートルほど。ずいぶんと大きく大雑把なものだけど。

「はい、こういうのは得意っす。」

 地面に手を付けて、即座に再現できるのは土の特性を持つデイーならではだろう。

「じゃあ、エーベル、この筒を通すイメージで思いっ切り魔法を撃ってみよう。」

「え、危なくありません。」

「大丈夫、念のため、バリアを貼っておくから。」

 デイーの作った円筒の周りと、的の周辺をバリアで囲う。これでよほどのことがない限り被害はでないだろう。

「さあ、思いっきり、ただしまっすぐ円筒の先だけを壊すイメージでね。」

「はい。」

 指示に従い魔法を発動するエーベル。その瞬間に力を貸す。

「えっ。」

「慌てない、集中」

 突然の高まりで必要以上に力が入ってしまったことに慌てるエーベルだが、その時点で俺は力を貸すのをやめている。この手軽な契約のオンオフは、面白いけど精霊の気まぐれって恐ろしいともなる。

「あわわわ。」

「不安なら円筒に手をつっこんで。」

「はいー。」

 今にも暴発しそうな魔力は、エーベルが本来持っている魔力で、実力である。失敗を恐れて力をセーブしてしまう彼女にはこれぐらいのスパルタがちょうどいい。

「ファイターアロー。」

 そして発動したのは、アローというにはあまりに物騒な極太ビームだった。円筒を通り抜けた炎のビームは、まっすぐと的を撃ちぬき、そこで消滅した。

「まずまずだね。」

 円筒を意識したことによってまっすぐに飛ばすことができた。 イメージは大砲だったけど、まるで宇宙戦艦の主砲みたいで、ちょっとテンションが上がってしまう。

 まあ、課題はたくさんある。まずは指向性だ。

「うわ、えぐいっす。」

 その余波でデイーの作った円筒はとけ、ボロボロと崩れていた。目標があったことで制御は出来ていたけれどバリアで保護していなかったらデイーはやばかったかもしれない。それと目標を倒したあと、バリアがなければ背後の壁を貫通していただろう。

 だが。

「今のって、リュー様がお力を?」

「補助はしたけど、他は何もしてないよ。」

 俺はバリアで遠慮なく魔法を使える環境にしただけだ。極太ビームをだしたのは紛れもなくエーベルの実力である。

「すごいっす、エーベル。さすがっす。」

「いや、デイーの円筒があったからですし。」

 わかってるじゃないか。もともと土属性は、こういう力だ。

「これはデイーの練習にもなるよ。エーベルの魔法でも破壊されない円筒を素早く作れるようになれば、俺なしでも足場を作れるようになるはずだから。」

「まじっすか。」

「というわけで、さっきの円筒をもっとたくさん作ってみよう。あ、段々小さくね。」

「了解っす。」

 俺の言葉を疑うことなく、次々と円筒を作っていくデイー、これなら身体を休めつつ、魔法の練習になるだろう。

「じゃあ、エーベルは、この円筒を壊さないように意識しつつ全力で行こうね。」

「は、はいい。」


リュー「つまり頑張れば、誰でもあれができる。」

見習い「いや、無理っす。」

魔法少女強化計画はまだまだ続く。

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