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13 能力を検証してみた。

 やりすぎ卵は人気者

「魔法発動には反動がつきものですけど、リュー様が支えてくださるなら、もっと高火力がだせそうでうわ。」

 キラキラと目を輝かせながら砲身(バリアー製)を真っ直ぐと構えるエーデル。嫌な予感がした俺の意識が反映され砲身が一回り大きなり、背負子からバリアーが伸びてエーデルの身体を支える。

「ファイヤーバレット。」

 炎の弾丸。エーデルが発動した魔法は文字通り圧縮された火の塊で、デイーのものとは明らかに精度がちがった。

「ファイヤー。」

 そして、撃ちだされる弾丸は、やすやすと的を撃ちぬきそのまま奥の壁にまで到達し、そこに大穴を開け、貫通した。あれ、反対側見えてない?

「馬鹿者、向こうに人がいたらどうするんだ。」

 ぽかんとエーデルの頭を叩くリランカさん。幸いなことにそういう事態は避けられた。

「な、なにがおこったのでしょうか?」 

 あわや大惨事の事態を引き起こしたエーデル本人は、それを理解していなかった。それだけ発射された魔法は速く、圧縮されていた。

「きひひひ、これはおいそれと使えないなー。」

「ああ、そうなっちゃいます?」

「きひひひ、卵ちゃんが殺人鬼とかなら別だけどな。」

 刹那にも満たない出来事を正しく知覚できたのは、俺とヱンペル先輩、そしてリランカさんだけだった。他の魔法少女たちがぽかんとしている中、明らかに血の気が引いている。

「リュー殿、ヱンペル、これは?」

 デイーの高機動でも驚いてたけど、今回はかなりびびってるな。

「きひひひ、範囲は狭いけど、俺らの火力に匹敵する威力だ。ほこっていいぞ卵ちゃん。」

「こわ。」

 そう思ったら、エーデルを覆っていたバリアが消えて、俺は地面に軟着陸する。

「意識的に展開と解除しないといけないのか、なかなかに制御が難しいなあ。」

 ちらっとエーデルのステータスを確認するとバフ効果もなくなっている。契約というのに踏み込みにはもう少し検証が必要かもしれない。

「リュー様、今度は私、私と。」

「ちょっと何言ってるよ、私がさきよ。」

 まあ、検証の機会は多そうだ。じりじりと近寄ってくる他の魔法少女たちを前に俺はそんなことを思うのだった。


 その場にいた見習さん達は、順番に俺を抱えて名前を名乗る。いちいち覚えきれてないけど、顔と名前を認識して、手伝うと意識すると仮契約は簡単にできた。そのまま夕方まで行われたお試しという能力検証の結果、俺はい自分の特徴をいくつか把握した。

「すごい。」

「いつもより魔法が遠くへ飛ぶ。」

「身体が軽い。」

 まず、契約中は魔法少女たちのステータスが一段上がる。ついでに身体のダメージと疲労が回復する。デイーレベルに過労となっている子はいなかったけど、お疲れ気味だった子が俺を抱えた瞬間から元気いっぱいになっていた。おそらくはリジェネとはそういう能力なのだら。

 あとはバリア。ステータスが上がったことでエーデルのように暴発しそうになった子がいたが、その時はとっさにその子と周囲を守るようにバリアが展開した。また俺のイメージに沿った形でバリアが足場や鎧のように作れることがわかった。ただ長持ちはせず、形を作ってから一分ほどで消えてしまう。

 面白い、もといちょっとがっかりだったことは、バリアの限界だった。強度はあるが、俺を中心として1メートルぐらいにしか展開できないし、バリアを使って俺を持ち上げることはできなかった。おれを抱えてくれている子を中心に移動しながらバリアを展開できたのでいけるかと思ったけど。自分だけではどうやってもバリアで動くことはできなかった。

 感覚的にはあれだ。椅子に座った場外でお尻や太ももの下に手を入れて身体を持ち上げようとする感覚だ。絶対に無理と即座に理解してしまった。

『きひひひ、こういうピーキーなところが精霊なんだよ。』

『俺の場合は、契約が必須ということは理解しました。』

 これらのことは、念話でヱンペル先輩と相談して整理したことだ。ヱンペル先輩の話では、こういった精霊側の事情を不用意に人間に話さないというのがルールらしい。

「ここまでだ。各自、今日の経験を意識して、自分の戦い方を磨くように」

「「「はい。」」」

 なし崩し的に教官のように場を治めリランカさん。正直助かった。

 20人近くいた見習さん達が順番に何度も俺を抱えて、魔法を発動をさせる。途中からは、デイーやエーデルにしたようなサービスをする気力もなく、ただのバフ要因となっていたが。抱えるだけで体力と魔力が回復するということで、終わりがなかった。

「今日は、ありがとうございましたっす。リュー様のおかげで自分、未来が見えたっす。」

「それは良かったねー。」

 流れで俺を抱えるデイー。契約はせずに抱えられるままになっているけれど、どうやら抱えているだけでも癒し効果はあるようで、体調は絶好調だ。

「たしかに、リュー様が居れば、無限に戦えそうですわ。」

 エーデルを筆頭に群がる見習い達がうなづくが。それはやめてほしい。体力は減ってないけど、なんか精神的なものが・・・。

「ぐー、なんか急にリュー様が重くなったっす。」

「あら、お疲れなら、変わるわよ。」

「そうそう、せっかくなら私が。」

「いやっす。今日は私の番っす。さっき決めたじゃないっすか。」

 ちなみに俺の居場所は、見習い達の寮になることに決まった。

「できることならば、彼女たちを見守っていただきたいです。」

 というリランカさんの願いを受け入れた形になるけど。精霊がのんびりできる場所としても理解のある見習いたちの近くの方がいいというヱンペル先輩からのアドバイスもあった。

「とりあえず、お風呂に入りたいですわ。体力は回復しても、汗は書きましたから。」

「そうですわ、リュー様を洗ってさしあげないと。」

 見習いたちとしても、精霊とパートナーになる事前練習となるので、ウエルカムだった。いや、もう大歓迎だけど。

「ただ、リュー様って、お風呂にはいってゆで玉子になったりしないっすか?

 

リュー「これでいいのかなー?」

ヱンペル「人気者はつらいねー。」

 とりあえず衣食住は確保した卵、その運命はいかに・・・。

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