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11 精霊バフがすごかった。

私と契約して魔法少女にしてください。

「ここで、下手な真似をして、ゴキゲンを損なわれたらまずいですから。」

「少しでも精霊触れ合いたいんっすよ、みんな。」

 そんなことを言って、俺をしっかりと抱えるディとなでなでと俺をなでるエーベル。君たち、さっきのえげつないやり取りはどうしたのかな?

「きひひひ、とりあえずの挨拶が終わったら、さっそく試してみるか?卵ちゃん。」

『いや、契約ってどうするんですか?」

『きひひ、この念話と同じさ。気に入った相手に力を貸したい、守りたいと思えばなんやかんや。』

 なんで、そこはふわっとしてるんですか?

『きひひ、安心しな、力を貸すだけなら契約にはならない。本格的に契約したくなったらまた教えてやるよ。』

 さようで、そうなると、やはり。

「ねえ、ディさん。ちょいといいですか?」

 挨拶が一区切りついたタイミングで、俺はデイーさんに話しかける。

「ちょっとお疲れでは?」

「そ、そそんなことないっすよ。ちゃんと寝てるし、食べてるっす。」

 こういうことを言う人は大体無理しているんだよね。ステータスもそうだし。

 ネーム ヘサカ コルディナ デイビス

 種族  マジックガール(見習い)

 状態  過労

HP   B

MP   D

攻撃   B⁺

防御   D

速さ   B

賢さ   D

適正  火、土

スキル  苦痛耐性 コルディナ流拳闘術 視力強化 動体視力強化

精霊適正  あり

 他の子と比べても過労状態なのは彼女だけだ。先ほどの不器用な魔法を見てしまったのもあるけど、なんか努力し過ぎで身体を壊しかねない。

「うん、何か身体が軽くなったような?リュー様、なんかしたっすか?」

「えっ、何もしてないよ。」

  ネーム ヘサカ コルディナ デイビス

 種族  マジックガール(見習い)

 状態  健康 ランニングハイ

HP   A

MP   B

攻撃   S⁺

防御   B

速さ   A

賢さ   D

適正  火、土

スキル  苦痛耐性 コルディナ流拳闘術 視力強化 動体視力強化

精霊適正  仮契約リュー

 あれれ、心配しただけでなんたステータスがすごいことに。

『きひひ、これが精霊の加護ってやつだ。どんな精霊でも契約すればステータスが補正されるってわけだ。』

『契約簡単すぎません?』

「それだけ精霊は気まぐれってことだ、契約を進めたければ相手の了承を得る、仮契約の解除は相手への申告で構わない。」

「えっ、ヱンペルどういうことだ?」

「きひひ、お試しが始まったってことだ、デイー嬢ちゃんがんばんな。」

「ま、まじっすか。確かに身体が軽いっす。」

 自分の身体の変化に気づいたのか、ブンブンと俺を振り回すデイーさん。

「ちょ、ちょちょちょ。」

 片手ってのはすごいなー。さっきまでは5キロの米袋を抱える感じだったのに対して、今度はバスケットボールを振り回すMBA選手みたいになってる。いや形的にはラグビーボールか?

「デイー落ち着きなさい。卵様が大変な事になりますわ。」

「ああ、しまったっす。身体が軽くてつい。」

 いや、まあ大丈夫なんどね、本物の卵でそれをやったら中身は死んでたよ、今の。

「まったく、卵様、そんな野蛮な子ではなく、私をお試しください。必ずや期待に応えてみせるっす。」

「うーん、まあ、ちょっと待ってね順番。」

「くー、約束ですわよ。」

 さらっとしたたかなんだよなー。まあ、仮契約ということは、何人か試して本契約ってことになるんだろうけど?

「そうですね、パートナーは精霊にとっても魔法使いにとっても大切な問題です。リュー殿が納得するまで試されてはいかがでしょうか?」

 ということになるらしい。

 ともあれだ。精霊に何ができるか、それを試す必要があると思う。

「さて、デイビスさんだっけ、身体が軽くなったってことはやっぱり疲れていたんだよ、だからこの後はちゃんと休みなよ。たぶん、訓練の仕方も考えた方がいいと思う。」

「そ、そうっすか。」

「そうですは、デイー、あなたはやりすぎなんです。朝早くからの走り込みから体術訓練。夜は遅くまで魔法の訓練、成果が上がらないからって急ぎすぎですわ。」

「な、なんで知ってるんすか。」

「夜な夜なベットを抜け出しているのバレバレですわ。」

 絶対、仲いいじゃんこの二人。

「ああ、そういうのもあとでお願いします。なんか視線が痛い。」

 何気に控えている他の子の目が怖い。

「で、デイーさん。俺を脇に抱えてもらうことでできます。片手で。」

「はい、こんな感じすか?」

 周りにも聞かせるように出す俺の指示をデイーは的確に理解してボールを脇に抱える。イメージはラグビーボールだが、大きさはスイカ並み。

「そしたら、そのまま思いっきりジャンプ。」

「はい、えっ、おおお。」

 そのあとに起こったのは、地面にヒビを入れて空高く舞い上がる魔法少女の姿だった。

「ひ、ひええええ。」

「落ち着いて、足場はある。」

 本能的な反応で、俺はヒコロクのおじさん達を守ったバリアのようなものを展開して、彼女を守っていた。

「ほえ、びっくりしたっす。これが契約の力っすか。」

「元のスペックありきだと思うけどね。」

 攻撃にはきっと筋力が含まれるに違いない。だが、これなら。

「そのまま、足場を伝って降りれる?」

「任せてくださいっす。」

 スポコン系は考えるよりも動いた方が速い。

 彼女の行先を誘導するように、バリアを出現させ、飛び石の階段のような道を作り訪ねるとデイーは鼻息荒く深呼吸をして駆け出した。

「これは、爽快。」

「ハイっす。」

 ぐんぐん速度を上げるデイーにたいして、降りるだけではもったいなくなって、俺は次々にバリアで足場を作り上下左右と道を作る。イメージはパルクールという街中を走るアレ。

「ははは、すごいっす、楽しいっす。」

「難易度上げるよ。」

 バリアを小さくして、間隔を広げる。更には角度をつけて壁のようにする。最初は一つずる両足で着地していたデイーだったが、気づけばジョギングのように気楽にソレラを飛び越え、時には三角飛びや、壁蹴りの要領で高く飛んでいく。

「すごいっす。こんな軌道ができるのは、リランカさんぐらいっす。」

 嬉々して走り回った時間は数分程度。地面についた彼女と俺を舞っていたのは、圧倒的な歓声だった。

「すごい、すごいわ、デイー。」

「どうやったの、まるで空を飛んでいるようでした。」

「精霊様、次は、私と。」

 彼女たちが興奮するのは無理のない話だった。魔法は便利だが、デイーと俺が見せた空中での高速軌道は魔法でも無理な芸当だったのだ。(とあとから知ることになる。) 

「うん?」

 歓声が上がる中、なにかむず痒い気配がして、俺はステータスを開いた。

 ネーム リュー 

  種族  黒竜

  状態  卵 健康   

  スキル 鑑定 自動防御 マニュアル防御 リジェネ 才能開花補助。 

「あれ、なんか増えてる。」

「きひひひ、これが契約における精霊側のメリットだ。』

ヱンペル「能力の強化、それ以上に相手のステータスを見て助言できるのが精霊の強み。」

リュー「まんまマスコットだ。」

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