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しんかい6500

 『しんかい6500』は、深度6500mまで潜ることができる日本のは、国立研究開発法人海洋研究開発機構が所有する大深度有人潜水調査船です。


 1989年に完成し、日本近海に限らず、太平洋、大西洋、インド洋等で、海底の地形や地質、深海生物などの調査を行い、2017年には通算1500回目の潜航を達成したのだそうです。


 1981年に完成し、2002年11月まで運航されていた『しんかい2000』の後継機です。


 『しんかい2000』の開発・完成から『しんかい6500』の開発・完成までは、わずか8年ですから、製造技術の伝承等も上手くいったのでしょうが、でも『しんかい6500』の後には、もう35年も次の大深度有人潜水調査船が造られていないため、重要部品をつくる技術等様々なものが、今の日本にはもう無い残念な状況なのだそうです。


 単純に考えてみれば、35年前の技術者たちや製造設備等が残っている訳がありません。


 大深度有人潜水調査船を製造するのは民間企業なんですから、次が無ければ設備は廃棄してしまいますし、貴重な人財も引き継ぎ等もされずに、既に定年退職等してしまっているでしょう。


 何も残っていないのですから、完全に『ロストテクノロジー』なんですよ。


 こんな状態の残念な『ロストテクノロジー』が、日本中の至るところで発生しているみたいです。


 この『ロストテクノロジー』は、大深度有人潜水調査船だけでなく、航空産業が特に顕著みたいですよ。


 ジェット練習機のT4も20年以上前、2003年に生産が終了していますよね。


 海難飛行艇のUS-2は、2025年に1機分を予算請求したものの、その後は不明とのことです。


 新たに造らなくなけば、製造技術は直に『ロストテクノロジー』となるのです。


 今現在運用している『しんかい6500』だって、運用するためには様々な交換部品が必要なんですから、あと何年無事に運用出来るか疑問が出て来ます。


 『しんかい6500』のチタン製耐圧殻の設計上の寿命が尽きるのは、2040年代ごろになるとのことでしたが、他の部品が交換できずダメになったら、そこで即終了なんです。


 そう考えると、膨大な資金が必要な国家的なプロジェクトは、国が責任をもって技術伝承等を、次期モデルの開発を考えなければダメなんですよね。


 大深度の有人深海潜水調査、大深度有人潜水調査船の予備機すらない状況ですが、今後はどうするつもりなんでしようか。


 全てを無人の大深度潜水調査船で対応するのでしょうか。


 遠隔操作型無人探査機『かいこう』は、11000m潜れるビークル(子機)が行方不明となってしまい、今は4500mまでしか調査出来ないらしい、残念状態です。


 ビークルは2003年に行方不明、その後に追加製造での補充もしていないのですよ。


 一応は自律型無人探査機の『うらしま』を、8000mまで潜れるよう改造中みたいですが・・・



 前に書いた蒸気機関車のような古い技術だって、後継者を育て伝承しなければ、『ロストテクノロジー』となるのです。


 日本の伝統工芸の世界では、後継者不足が進んでいますから、このままでは失われる技術も多数出てくるでしょう。


 工芸品で「これはもう今では作ることが出来ない技術だよ」って話を聞くことがよくありますから、かなり深刻な状態なんでしょうね。


 どんな技術であれ、『ロストテクノロジー』とならないよう、後世に残せるものは何とか伝承して残して頂きたいと思うのは、ワガママなことなんでしょうか?

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