ふるさと納税
『ふるさと納税』とは、自分が住んでいない別の市町村(地方自治体)に寄付すると、自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税(復興特別所得税を含む)及び個人住民税から控除される、所得の多い方が節税対策にすることが簡単に出来てしまう、不思議な制度で歪な制度です。
たぶん殆どの方が、寄付をすることによって、お礼として送られてくる返礼品が目当てでしょう。
確定申告をしなければなりませんが、年間2,000円負担するだけで、色々とお礼の品が届くのですから、自分の故郷や応援したい地方自治体を応援するとの大義名分で、2,000円で買い物をしているようなものです。
だから所得税を納税していなかったり、少ししか納税していないような、年間所得の少ない方たちにとっては、何の意味も無いとっても残念な制度が『ふるさと納税』なんですから、異常なほどに不公平感もあったりします。
総務省のふるさと納税ポータルサイトの、全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安に、計算してみましょう。
総務省は2019年6月に「寄付金額に対する返礼品の金額の割合は3割以下」と定めましたから、単純に3割で計算することにします。
独身者等で扶養家族がいない方の場合ですと、
ふるさと納税を行う方本人の給与収入が300万円だと、全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安は28,000円、返礼品の金額は8,400円
ふるさと納税を行う方本人の給与収入が500万円だと、全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安は61,000円、返礼品の金額は18,300円
ふるさと納税を行う方本人の給与収入が1,000万円だと、全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安は180,000円、返礼品の金額は54,000円
ふるさと納税を行う方本人の給与収入が2,500万円だと、全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安は855,000円、返礼品の金額は256,500円
僅か2,000円の負担で、1年に256,500円分の食材が届くとしたら、2,500万円の高所得者は絶対『ふるさと納税』してしまいますよね。
そしてさらに高所得者は、生活が益々豊かになる・・・うらやましい限りの『ふるさと納税』制度活用方法となるのですよね。
総務省の資料では、『ふるさと納税』を行う方本人の給与収入が300万円~ふるさと納税を行う方本人の給与収入が2,500万円しかありませんでしたが、納税する所得税と個人住民税が少ないと、お得には『ふるさと納税』出来ないし、『ふるさと納税』をすること自体たぶん考えもしないですね。
当然ですが、納税する所得税と個人住民税が0円ならば、『ふるさと納税』した金額全てが、単なる寄付になってしまいますし、たぶんですが、寄付するような金銭的余裕もきっと無いことでしょう。
現実に私も所得が減ってからは、『ふるさと納税』するのをキッパリ止めましたよ、そんなに寄付をするような余裕は全然無いですからね。
『ふるさと納税』で納税額が増える地方自治体にとっては、救済策となっていますし、『ふるさと納税の返礼品』を生産する地方の民間企業を救済することにもなっているのでしょうが、やはり歪なんです。
『ふるさと納税』で納税額が減る地方自治体もあるし、『ふるさと納税の返礼品』を生産していない地方の民間企業は、もしかすると売り上げが減っている可能性があるのですから・・・
そう考えると、地方自治体同士の、ただ単に返礼品を餌にした苛烈なパイの取り合い合戦となってしまう可能性だってあるので、近い将来、『ふるさと納税』の制度自体がが無くなる気がしてなりません。