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名古屋城天守閣の木造復元事業 バリアフリー対策

 名古屋城天守閣の木造復元事業を巡り、障害者らで構成する市民団体は、名古屋市役所で広沢一郎市長と意見交換し、大型エレベーターの設置をあらためて要望したのだそうです。


 名古屋市側は、以前から示している小型昇降設備を導入する方針を説明し、理解を求めたそうですが、バリアフリー対策として、大型や外付けのエレベーターが必要だと提案したのだそうです。


 バリアフリー対策としてならば、小型昇降設備があればそれで充分ではないかって思えてしまうのは、私だけなのでしょうか。


 そもそも論は、約400年前の名古屋城天守閣の姿と内部構造を、木造建築で復元を目指すのですよね。


 大規模な木造建築物の築造が減少し、職人技の消滅が危ぶまれるなか、天守の木造復元は伝統技術を次代へ継承する機会とするのですよね。


 そしてこれから何百年以上も、その姿を残すのですよね。


 1981年に薬師寺の五重塔の西塔が新たに建築されましたが、この西塔は東塔よりも1.4m高くなっているのはご存じですか。


 東西両塔の大きさ、形状の違いは木材の乾燥収縮を、基壇の高さの違いは地盤沈下を考慮したものであり、500年後には東西両塔が同じ高さになり、1000年後には屋根が設計どおりの形状になるという、壮大な計画の元、遠い遠い未来を見据えて建築されているのですよ。


 大型や外付けのエレベーターが必要だと提案されていますが、エレベーターの通り道となるシャフトは鉄骨で造らなければいけません。


 そのため、木造の建物の中に、別構造で鉄骨が建つことになります。


 木材は乾燥収縮しますが、鉄骨は熱で多少膨張・収縮はしますが乾燥収縮はしませんし錆びますから、復元した天守閣を数百年後まで残すことを考えると、木材と鉄骨とま収縮差で天守閣にひずみ・ゆがみが出て来てしまい、ひずみ・ゆがみで将来大変なことになる予感がしてしまいます。


 長く大きな鉄骨を組み込んで建築してしまえば、もう簡単には鉄骨を取り除くことも出来ませんから、しっかり未来を見据えたうえで話し合って頂きたいものです。


 天守閣は建築したら終わりではなく、建築後は今後何百年もず~っとメンテナンスして行かなければならないのですからね。

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