カーボンネガティブ
カーボンニュートラルの一歩先となる、カーボンネガティブという発想があるのだそうです。
ブラジルではサトウキビ、アメリカではトウモロコシから製造されたバイオエタノールの燃料がありますが、日本ではガソリンに3%のバイオエタノールを混ぜたE3ガソリンが、ようやく販売されているレベルの状態です。
そしてまだバイオエタノールを精製する量は限定的で、量産効果が出ていないし製造コストも高額なのだから、通常ガソリンよりも高額なんですよ。
更に100%バイオエタノール燃料や純度の高いバイオエタノール混合燃料は、自動車に今使われているゴム類やアルミ類の部品との相性が悪く、エンジン回りをバイオエタノール燃料向けに専用設計・専用素材の部品とする必要があるとのことなので、中々普及しない訳ですね。
ブラジルは農業政策を含めた国策として、バイオエタノールを自動車用燃料として普及させていますから、自動車メーカーもブラジル向けには、バイオエタノールに対応した専用部品を用意し、しっかり対応させているのです。
そう考えると日本向けの自動車は、E3ガソリン程度にしか対応していない部品なのでしょう。
そういえば昔、高濃度アルコール燃料のガイアックス燃料を、ガソリンよりも安価に販売したことがありましたが、日本国内で使用される自動車はこのような燃料の使用を前提とした仕様になっていなかったため、高濃度アルコール燃料が原因とされるアルミ部品の腐食等が複数の自動車メーカーから報告され、燃料漏れによる車両火災が発生したため、「揮発油等の品質の確保等に関する法律」改正により、ガイアックス燃料は販売を終了することになりました。
ダイハツが前回のジャパンモビリティーショー2023で発表したビジョンコペンのエンジンが、カーボンニュートラル燃料の使用も見据えた1.3リッターのガソリンエンジンと紹介されていたことからも、日本向けの自動車についても、やっと本気で取り組むようになったってことなんでしょうね。
しかしこれでは、まだカーボーンニュートラル止まりなんです。
カーボンネガティブとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量が、森林や植林による吸収量よりも下回っている状態を意味します。
計算式を表示すると、「排出量」ー「吸収量」<0 ですね。
カーボンニュートラルは、人為的に排出される温室効果ガスの排出量から、吸収量を差し引いてゼロにすることです。
計算式を表示すると、「排出量」ー「吸収量」=0 ですね。
地球温暖化を防ぐためには、原因となる温室効果ガスの排出を削減しなければなりません。
そのためには、カーボンニュートラルをさらに進めたカーボンネガティブといった取り組みが必要となります。
その一例が、大自然を利用する方法、植林植樹により二酸化炭素を吸収することです。
でも現実には、世界の森林は年々減少、砂漠化がどんどん進んでしまっています。
また自然を利用する以外で、工業プラントとして大気中の二酸化炭素の回収・貯留を実現できれば、植物に頼らず人工的に、二酸化炭素の「吸収量」を増やすことが可能になります。
空気中に存在する二酸化炭素を回収して、回収した二酸化炭素を分離して集め、地中深くに貯留するなんて案がありましたよね。
実際、マツダのゼオライトによる二酸化炭素回収実験では、エンジンの排気ガスをゼオライトが入った機器を通過させることで、大気中の二酸化炭素濃度よりも排気ガスの二酸化炭素濃度が低くなったのですから、自動車が走れば走るほど二酸化炭素が減る、回収できる可能性を期待させる実験結果でした。
カーボーンネガティブの達成は、省エネや再生エネルギー、原子力、そして未来技術の核融合の活用などを通して、二酸化炭素の排出量を削減することと、二酸化炭素回収を併用すれば、近い将来に実現するのかもしれませんよ。




