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6話 現竜と能力と由縁

「とりあえずよろしくね! 辰巳くん」


 ヒカリが俺の隣に座ったと思うと清さんは言ってくる。あの子が潔く出てった後、問題が去り気にしなくて良くなったからか元気そうだ。いろいろ気になるがまずいだろ。


「いいんですか? まだ勝つって決まったわけじゃないですし」


「大丈夫大丈夫、君が一日寝てる間に身体計測したけど。君の身体の回復速度とか能力とか加味したら全然勝算ある」


「え? 俺そんな寝てたんです?」


 うん――そう言うと一段落ついたからか、テーブルに置いていたお菓子を食べながら説明してくれた。身体能力の上昇に加え、今までと打って変わった体の動かし方、それらによって体が悲鳴を上げていた。が、身体の回復速度が速いおかげか今はそっちの問題より、拳にひびが入ってることの方が問題らしい。


「――ッてそれ完全に棚殴った時のじゃん!」


「ごめん! 予想外しちゃった!!」


 片手を上げごめん的な感じに上げるがそれよりお菓子とバクバク喰らいながらもう片手を絶えず動かす、食べ終わったと思ったら清さんがテーブルの下に手を伸ばすと新しい箱を出してくる。なんだこのコンビ。


 まあ骨にヒビが入ったと言っても、一日目は動かすのは控えようってな感じで問題ないとのこと。人外化っつうかなんつうか色々早くね? ――と漠然とした不安にあいながらも気づいたことに疑問を呈す。


「じゃあさっきの言い方的に俺の能力はわかったんですか?」


「……説明しやすいよう話すね? 現状、現竜と呼ばれる能力者が大まかに八つ……いや、六つに分けられるのは知ってるよね?」


「は、はい。 火、水、地、風、魂、氷、ですよね? 正直誤差なんだから氷と風消して四つに圧縮したほうが賢い気がするんですけど。正直そのへんあやふやです」


 「多い理由は八体の龍の伝承から来てるからで、現竜ってのも安直だけど現代の竜って感じ? あと伏せられてるけどその6種に加え白と黒の能力もあるよ」


 伝承で出てくる龍はすべての誕生の親である白龍と、世界のバランスを取るための管理者として自身の力を分けた七龍。それらを喰らい能力を得る人の話が有名だ。けど、現竜に関しては学校で教わるはず。


「俺学校でそんなの聞いたことないですよ?」


「だってこれ伝承が事実だっていう裏取りになっちゃうからね~。まあメインの理由は白と黒に当てはまる現竜がいないからかな? 厳密に言えば関係する能力を持ってるのは僕が知ってるので二、だけ。」


 二と言いながらお菓子の持っていない方の手でピースし数を表してくれる。


「この幸運な能力持ちに君は含まれます、はい。レアな君ならいつかはバレて何かしらに巻き込まれてただろうね~」


「辰巳くんの能力は白と黒のうちの白で、白龍の権能は誕生。そこに混在する一つの能力、『有無の誕生』の有の部分とかが君の能力じゃないかな?」


 淡々と出される理解が追いつかない話。それを簡単に飲み込めるほど人間離れはしてなかったようで長いことフリーズしてしまう。


 本当に訳がわからない。情報が一気に来すぎてまとまらないよ! 言葉発する余裕もないよ……


「ああついでに、僕は黒ね?」


「衝撃が、止まらない!!!」


 ようやく息できると感じた最後に、思い出したかのように爆弾を目の前に落とされ、色んな衝撃で一周回って言葉が出てきた。


 なんで二人して平然とお菓子ぼりぼり食べてるの!てかさっきからどっから出してるの⁈


「じゃあ何です? 今まで気づかれなかったのは学校のセキュリティが高かったんですか??」


 テーブルに手を置き、前かがみになりながら彼の口から理解できるものが発すられることを求め問う。


「そうだよ」


「――軽い! 龍が居るってしれっと言うし! レアな存在そろってるし! なんかやばそうな能力だし!」


 まあ落ち着こうよ――お菓子を箱ごと寄越しながらそう制してくる清さんは、隠す理由もないしなとばかりの顔をしたと思えばテーブルの端っこの方で指を置く。ヒカリが白湯を注いで来てくれ隣でワクワクしている。なにをしだすのかと思うと指を置いた個所にできた影に指が入っていく。


「お菓子何がいい?」


「――――ッッ、もういいです」


「まあまあ、レア者どうし頑張ろうよ。とりあえず戦いの準備しないと」


「どれもこれも清さんのせいですけどね!」


 なんかこの振り回され方覚えあるわ。親子かな? この2人。


「とりあえず、能力の発動時にいた二人は発動条件とか予想ついてる?」


「いや全然」


「私も~」


「じゃあ再現するか~。龍については追々ね」



△□*△□*△□*△□*△□*△□



 エレベーターに乗り地下何階かわからない場所に向かう。理由は単純、戦えるようにしてくれるとのこと。何も無い道場ほどのサイズの白い空間に連れてこられ、それを見てお金ないって絶対嘘じゃんと思いつつ普通にすごくて驚きとともに笑いが込み上げてくる。


 物を置いてないのは清さんがほぼ何でも出せるからだとか。他にも清さんがエレベーターに乗ってすぐ謎の入力を階層ボタンでしていたのを見てかっこいいなどと思いながらワクワクしていたのもつかの間。特に詳しく聞かずに付いて行ったのがダメだった。


「きもい! アンド「やべぇ~~~!!」」


「待て待て〜! てかきもいは傷つくよッ! ヒカリちゃんッ!」


 ちゃん呼びきもいからやめて! ――などと言っているヒカリ、ちゃん呼び地雷かな?呼ぶ時気をつけよ。って違う違う。


 こないだ筋肉ゴリラから救ってくれた、ヒカリによるとハズレ枠こと鉄平(てっぺい)さんが馬鹿みたいな速度でヒカリ肩車式俺に突っ込んでくる。も、俺は前回からお世話になりっぱなしのヒカリ言葉に従い避ける。ついでにヒカリはなんでか成長してるし、能力は数秒の未来予知だって。すご。


 てか自分のことで手一杯でヒカリについて聞くの忘れてた、後で聞くか。


 清さんによると、一度発動すれば(おの)ずとやり方がわかるらしい。だとしても『有の誕生』なんて難解そうな能力、どうすれば良いんだよとなるが。だからこその再現だそうだ。漢の能力に似た鉄平さんが選ばれたのも合点がいく。


 現状、現竜の身体能力は作動させれたが出力が前よりない。あの時の身体能力が、『有』によって上乗せされていたものなら……


「ヒカリッ……やってみたいことがある」

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