夕融けの零氷
その都市は、ひときわ賑やかだった。
月詠と呼ばれる大地の北西に位置する楽都、蒼鷹。
別名、白黒文明。
この都市は、他のどの村や街よりも音楽が盛んに行われており、昼夜問わず、あちらこちらから音が溢れ返っていた。
そんな都市も、住民のほとんどが夢に落ちる時刻になれば、瞬く暇しじまに包まれ、都市は住民と共に眠りにつく。
齎された安寧は、等しく分け与えられる。
境遇に恵まれず、物心のついた頃から困窮に陥っていた浮浪者に。
罪を贖い、神の御霊の元に頭を垂れる罪人に。
世の喧騒に紛れ、なだらかな一生を過ごすであろう脇役に。
もしくは、生きとし生けるものへ須く供給される。
──これは、今を生きる、命という名の軌跡の物語だ。
月詠と呼ばれる大地の北西に位置する楽都、蒼鷹。
別名、白黒文明。
この都市は、他のどの村や街よりも音楽が盛んに行われており、昼夜問わず、あちらこちらから音が溢れ返っていた。
そんな都市も、住民のほとんどが夢に落ちる時刻になれば、瞬く暇しじまに包まれ、都市は住民と共に眠りにつく。
齎された安寧は、等しく分け与えられる。
境遇に恵まれず、物心のついた頃から困窮に陥っていた浮浪者に。
罪を贖い、神の御霊の元に頭を垂れる罪人に。
世の喧騒に紛れ、なだらかな一生を過ごすであろう脇役に。
もしくは、生きとし生けるものへ須く供給される。
──これは、今を生きる、命という名の軌跡の物語だ。