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なかはじめ

よろしくお願いいたします。

 茉琳は慌てた。翔の呼吸がおかしい。発作が出かかっている。すぐさま体を彼から話すと翔の顔を仰ぎ見て、


「ごめん、ごめんなっし。うちこうなるの知ってたのに、堪忍え」


 翔は女性恐怖症が原因で過呼吸になってしまう。だが、すぐに呼吸が安定し出した。彼はゆっくりと息を吐き出していく。


「大丈夫みたい。普通に息ができるみたいだから安心して」


 翔も不安がなくなったせいか、表情が解れていく。


「翔」


 茉琳は優しい顔で話しかけてきた翔を見て安堵していた。


「良かった。うちのせいで発作起こしたなんて事になったら…」

「俺も驚いたけど、過呼吸にはならなくて良かったよ」


 茉琳は感極まったように表情を緩ませて,翔を抱き寄せようとしたのだが、


「でも,これ以上は勘弁してくださいね」


 茉琳は、先に釘を刺されてしまう。


「せっかくなのに、ぶつぶつ」


 と言いつつも翔の胸に寄りかかっていく。


 あっけに取られていて2人を見ていたギンも,そのうちテーブルにあるコーヒーまみれのタブレットをとり、手持ちもタオルで拭いていく。


「これ、使えるかわからんちゃ。とほほ」


 それを聞いて茉琳は、翔の胸から起き上がり、


「ウチがお金、出します。直すにしても買い換えるにしても」

「あんたがよけりゃ、よかばってん。良いちゃ?」


 あえて、ギンはといただす。


「あんたも被害者やろう?」


 茉琳は被りを振って、


「ウチが、あいつらに関わったばかりに、ギンさんにも迷惑かかったなり、是非ともやらせてなり」


 茉琳はギンに近づき,彼女の手を取り、


「ごめんなし。堪忍な」


 ギンの手に顔を擦り付けるようにして謝っていく。


「そげん,しなくてもよかばい」

「で、でもう」

「もうえかって」


 ギンの顔は笑顔になっている。


「じゃあ」


 茉琳はギンに目を真剣に合わせていく。


「せめて,連絡先だけでも教えてください」


 懇願し頭を下げていった。


「それくらいならよかよ」


 2人はスマホを取り出し、通話番号を交換する。

その陰でここから逃げようとしていた翔を茉琳は察知する。


「翔も連絡先おしえてなしー」

 

「俺はいいよ」


すかさず拒否をするのだが、茉琳は手を翔に向けて指先をワキワキさせて、


「せめて汚れた服のクリーニングをさせて。じゃないと抱きつくぞ」


と翔を脅す始末。それも堪らんと翔も自分のスマホを差し出していく。


茉琳はスマホの画面を操作して通話番号を登録していく。


「これで2人とも、ウチのお友達な」


 涙を溜めた目で微笑んで茉琳はギン、そして翔を見ていった。


「おおきにな」

ありがとうございました

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