お散歩
*3日目
月曜という平日。
ヒナを見てくれるひともいない。
8:30バイトに出かける直前まで いっぱいのご飯を食べさせると、午後1:30までご飯を我慢してもらうしかなかった。
元気なヒナなら頑張ってくれることを信じて。
わたしが帰って来るなりヒナはハウスから口を開けて飛び出してきた。
*4日目
バイトから帰り、フットハウスを見るとヒナが居ない。
フットハウスとわたしの部屋はフリー状態。
ヒナが好んでハウスから出ることはないから囲む必要もなかった。
『ヒナ!ヒナ!どこに行ったの?』
声を出して呼んでみた。
「ピピッ ピッ」
耳を澄ますと洋服ダンスのほうからだ。
懐中電灯を照らしてみるとタンスの裏の隅にヒナがいた。
布団叩きでヒナを隙間から追い立てるとタンスの隙間から出て来た。
羽をパタパタさせながら出てくるヒナ。
両手でヒナを救い上げハウスに戻す。
『ごめんね。お腹が減ったんだね。すぐご飯にしようね。』
練餌に粟や細切れミルワーム混ぜ合わす。
そしてちょっぴりのハチミツのトッピング。
ヒナはハチミツが大好き。
栄養満点のスペシャルご飯。
食欲旺盛!
勢いよく食べてくれる。
『・・・ヒナ、お外に散歩に行こうか。』
今朝、バイトに行く時、気になるスズメを見つけた。
ヒナを拾った近くの電線で「チュン チュン」鳴いているのだ。
もしかしたらヒナのお母さんかもしれない。
だから、ヒナを連れて近くをお散歩してみることにした。
ヒナが元気になったとき、必要なのはわたしじゃない。
もしもヒナの声にお母さんが気付けば、自然に戻したとき無事に再会できるかも。
わたしでは飛び方、餌の捕まえ方、砂遊びの仕方とか教えてあげる事できないから。
それこそお弁当売りのようヒナが入ったクーラーボックスを首にぶら下げて散歩をした。
時折、見上げわたしの顔をみるヒナ。
拾った付近をウロウロしているとスズメの声が聞こえた。
『ほら、ヒナも鳴いてごらん。』
指をくちばしに近づけると「ピッ ピピ」と鳴く。
10分ほどの散歩を終え部屋に戻る。
『お母さんが気付いてくれたらいいね。』