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壁をたたく音
『彩花ちゃん、今日、少し残業頼めるかな?』
『無理です!用事がありますので!!』
店長の頼みに間髪入れず断ると自転車をすっ飛ばして部屋に帰る。
・・
・・・・
『わたし特製ステーキ&焼肉弁当サラダ付きとプリン&杏仁豆腐』
約束以上の報酬に上機嫌で家に帰る姉。
『ヒナ、来てごらん。』
様子を見ようとヒナに手を伸ばしてみる。
『嫌っ』とペーパーの奥にゴソゴソ逃げるヒナ。
『・・・』
わたしはイラストの仕事にとりかかる。
コツコツ コツコツ コツコツ
時々、ハウスの壁をたたくヒナ。
『ヒナ、何やってるの?』
観察すると、ヒナはくちばしをハウスの壁にこすりつけていた。
どうやらくちばしについたエサの汚れが気になるようだった。
なるほど・・人間の歯磨きみたいなものだね。
『おいで。』
乾いた練り餌は爪先でもとれない。
磨いてあげようと濡れた綿棒をくちばしに近づける・・・ バクッ!
『こらこら、餌じゃないよ。』
「ピピッ」
そのままヒナのお食事タイムに突入。
食事が終わると再びペーパーや壁でくちばし磨きを始めるヒナ。
『ふふ・・ヒナは女の子かな?綺麗好きだね。』