21話 クラブ活動しちゃいました。
サルーン様とも仲直りして、平和な学校生活が戻ってきたかと思いましたがそんな事ありませんでした。
まず、2年目という事でもう必須単位を取り終えて時間が余ってる2年目の人達の為に専門分野の授業の増設、クラブ活動、生徒会を始める事になりました!
その準備も大変でした…。
私が大好きな語学の授業も出来て嬉しすぎます。
実は語学についてペンネームで本も書いたりしちゃってます。
クラブ活動は私が主催なのも一つ作りました。
その名も《世界向上クラブ》。
取り組む事は全般。
この世界を良くなる様に取り組むというとても壮大なクラブです。
掲示板に張り出した勧誘ポスターは他のポスターとは違う異彩を放っています。
他は演劇クラブとか美術クラブとか…先生が主催のクラブが多いのですが…。
キャロルとアンナが背の低い私には届かない場所に貼ってくれます。
「キャロル、アンナありがとうございます。」
「レイチェル様の役にたてるなら嬉しいですわ。」
さぁ、何人集まるのか…。なるべく多く集まってくれると嬉しいけど…。
クラブ活動の為に借りた教室に行ってみるとお兄様、サルーン様、サル君、ラインハルト様、ジャン、ヴァネッサ嬢達、帝国の双子など。
ざっと見ただけでも相当な人数が集まっている。
あんな怪しい名前のクラブなのにこんなに集まってくれるなんて嬉しい。
私は担当してくれる先生に挨拶すると教卓の前に立った。
「本日は《世界向上クラブ》に参加くださりありがとうございます。このクラブでは、あらゆる事に取り組みこの世界の水準、常識を向上していこうと思います!
まずは私からお題を決めさせて頂き、次からはみなさんと話し合って決めていきたいなっと思います。」
カテーシーをしてお辞儀をした。
すると手が上がる。
「具体的にどの様な事柄に取り組む予定ですか?」
「その前にこのクラブは秘密クラブとして、ここで起こる事は外部に他言できない魔法誓約を皆さんに結んで頂きたいのですが…それが嫌な方はこの教室から出て行って頂きたいです。」
騒めきが起こった。そりゃそーだ。
「活動内容が外部に知れ渡らないなら、世界の向上にならないのでは?」
「いずれは外部にも開示しますし、外部に他言しなくても私達がする行いで世界の向上を図っていきたいと思っています。」
みんな近くの人と顔を見合わせている。
お兄様は後ろの席で悪い顔で笑っている。
何人かは部屋から出て行った。
私が予想していた人数より出ていかなかった。
私が主催するクラブで秘密で行われる事に魔法契約をする価値があると思ってくれてる人がこれだけ居るという事だと思って嬉しくなった。
用意していた魔法契約書を前から回していく。
全員の名前を確認してマイ鞄に入れる。
「先程の質問の回答ですが…まずは、最低限の治療魔法をみなさんが使える様になって頂きたいと思います。」
先程より大きい騒めきが教室に広がった。
「ここにいる全員が魔法を使える訳ではないと思うのですが?」
思わずと言った感じで前に座っていた人が私に声をかけた。
「実はこの世界の殆どの方は魔法を使えると思います。ただ使い方が分かっていないだけで今、皆さんが思っているように王族、貴族の一部の人だけというのはみなさんの中でのイメージがそうさせているのです。」
騒めきが一層大きくなった。
「現実に私は魔法を使えないのですが…」
クリスタ国の貴族であるガーデン様が手を挙げた。
私はそのガーデン様の手を引き横に立たせる。そして、意識して身体に魔法が巡るイメージをする。
先生が用意してくれていた水差しとコップを教卓に置き水を注ぐ。
「ガーデン様、同じ様に手からこの水が出てくる事をイメージしてみてください。」
ガーデン様は手をコップに掲げて力を入れた。手のひらから水が流れる。
ガーデン様は驚いて尻餅をついた。
そのまま自分の手を二度見して頬に一筋涙が流れた。
「そっそんな?まさか?!」
部屋の中が騒めきではなく緊張に支配されて一瞬で空気が変わった。
部屋にいる全ての人が教卓の前に注目していた。
「元々魔力を持っていてもその流れが止まっている事が殆どです。その魔力の〝詰まり〟を取ってあげると魔力がゼロの方以外は使えるということです。」
震える声でガーデン様が私に話しかける。
「これは世界向上とか…クラブ活動の粋を逸雑していると思うのですが…」
「これを私的なクラブ活動でやる事に意味があると思っています。この先、どーなるのか私にもわかりません。でも世界を変える責任はとるつもりです。」
「レイチェル様!これは世界にむしろすぐ発表すべき事ではないのですか?」
「いきなり言葉でこの様な事を言われても信じられないでしょうし、どんな影響が出るかそれこそ分かりません。」
「しかし、みなが魔法を使えたらそれだけこの世界は発展するのではないですか?」
「確かに色々な事が発展もしますが、その分問題も同じだけ起きるでしょう。今はそれ全てに対応出来ないと判断しました。」
私は真っ直ぐ前を見て教室に座る人全ての人の目を1人ずつ見る。
「元々使えてた人、使えてなかった人その人達の世界すら私は壊してしまうでしょう。でもなぜそれをしようと思ったか…力は力でしかありませんがその力が必要な時、力が無かった為に後悔して欲しくないのです。包丁は野菜を切って美味しい料理も作れますが同じ包丁で人を傷つけたり殺したりできます。この魔法も同じです。
何故親しい数人だけに教えなかったのか…この様に不特定多数、国も様々な方にこの話をしているか…その選別を私がすべき事ではないと感じたからです。
この場で今からでも退出して頂いても結構です。」
誰も席を立たなかった。