53話 手を繋いじゃいました。
ヘリオス学園の食堂で恋の話に盛り上がる学生達。
「あぁーラインハルト様本当素敵よね~」
「ジャン様だって素敵だわ。」
沢山の可愛い声が聞こえてくる。
「ヴァネッサ嬢の気の強い所可愛いよな」
人の感情は複雑で難しい。
こと、恋愛では己の感情は思い通りになりにくいと思う。
誰かを好きになる。
それはとても不思議な感覚に思う。
ある人に好きって何?と聞いた時、
「その人と居なくてもその人の事を考えてしまっている時、好きなんだと思った」っと教えてくれた。
前世では、漫画、小説、映画、歌、そこかしこで恋愛模様が描かれて歌われていた。
一途なキャラが主人公を溺愛してくれる作品がどれだけあるだろうか?
王子様に見そめられるシンデレラ。
光源氏に見そめられる紫の上。
どの時代、どの国の人にとっても馴染みが深い恋愛。
その本や映像の中の恋愛を現実世界で自分が体感した事があるかと聞かれると否定するしかない気がする…
前世の現実では婚約者がいる人なんて稀だし、婚約破棄の卒業パーティーなんてないし、パラメータで好感度が分かる訳でも、手が触れて顔が赤くなる訳でもない。
私は今まで出会ってきた人全ての人が好きだ。
これは前世からの出来事で学んだ事なのだが、好きだっと思っていると相手も好意を抱いてくれやすいし、嫌いと思っていると相手も大体自分を嫌いだと思う。
そんな全員大好きマンの私だが…レイチェルとして生きて恋愛的な好きはまだよく分からなかった。
王女なのもあるだろうし、まだ子供なのでその感情を持ち合わせていなかった。
でも、何歳でも人を好きになる現象は起きるみたいだ。
まぁ、前世でも幼稚園で初恋が先生だったり、幼稚園から付き合ってキスをしてる子がいるらしいから年齢は関係ないんだろう。
褒められたり好きだと言われると、それを言ってくれた相手に対して好意を持つ現象があるらしい。
褒めてくれたり、好きだと言ってくれた人をなんとなく好きになる効果、これを「好意の返報性」と言うらしい。
まさしく、この現象で私は絶賛アーサーにドキドキするようになっていた。
アーサーに恋人として触れられ、大好きと言われると他の人とは違う気持ちになってしまう。
だって、凄い優しく触られたり、大好きって笑顔を見せられたらそりゃ好きになってしまうよ!
私だって溺愛、一途に憧れがあるから、獣人の番も凄い憧れるし…
それに恋愛を抜きにしても私にとってアーサーはとても頼れる特別な存在だし…
ぐるぐる考えながら横で手を繋ぎながら歩く存在を意識しまう。
顔を見るとこちらを向いて笑う。
「ラインハルトって人気あるよなー。」
女子生徒達の会話が良く聞こえるのだろう。
「生徒会長だから目立つ事多いしね。」
「確かに。そんで、「獣人は番を溺愛する」の人気って本当凄いねー。」
何人もの生徒が本を広げて話してる光景が目に映る。
今巷で大人気の恋愛小説だ。
その本の影響で私達が推されてる訳なんだけど…
こちらをチラチラ見ている視線を感じる。
まぁ、手を繋いで歩いているカップルなんてこの学園では居ないのでそれもあると思うが…
アーサーは機嫌が良い様でこちらを盗み見ている生徒に笑顔を振りまいている。
今のクリスタ国の貴族の中でも政略結婚より恋愛結婚が徐々に浸透してきた。
その理由は沢山あるが学園が大きな役割を担っていると思う。
後、お父様達の実力主義雇用なども関係している。
高位貴族同士の婚姻にメリットがそこまでなければ拘りがなくなるのも自然だ。
なので、ヘリオス学園は恋愛活動が至る所で活発に起きている。
恋愛活動の傍ら、もう婚約者がいる人や恋愛に興味のない人は推し活に精を出す人が多いみたいだ。
歩きながら色んな声が聞こえてくる。
「あの2人本当に仲が良いですね。」
「異性と公共場で手を繋ぐなんて非常識ではないですか?」
「でも、市井ではその様な接触は一般的と聞きました。」
「私もそう聞きました。それに、私もあんな風に婚約者と仲睦まじく過ごす事に憧れがありますわ。」
「まぁ!!」
キャキャ可愛い声が聞こえる。
握っている手に少し力を入れてみる。
アーサーが不思議そうにこちら向く。
「何でもないよ。」
アーサーは優しく笑って握ってない方の手で優しく頭を撫でてくれた。
これって好きじゃない人にやられたら嫌な行為上位のやつだ。
でも私はその行為がやっぱり恥ずかしいと思いつつ嬉しいと感じてしまうのだった。




