見守っちゃいました。 side story
別館の寮の屋根の上に座ってシャナ、アーサー、バベル、ジャンと男子寮と女子寮を観察していた。
やはり、初日は余計に気持ちが浮つく様でチラホラ夜も深けているのに忍んで誰かに会いに行こうとしている人が見える。
その人物を見て思わず頬が緩んでしまう。
「あー、シャルルが忍んで逢いに行ってる。きっとおやすみって言いにいくんだな~」
「しかし、お嬢も無理言うよな…無理やりとかは絶対排除で、恋人達はある程度見守るって…」
「嫌な思い出は作らない様に。でも誰かとの素敵な思い出は作れる様にするのがこの場所だからだよ。」
恋人や好きな人に一目逢いに行きたくなる気持ちは大切にしたい。
寝る前に好きな人の声を聞きたい、そんな気持ちを止めるのは無粋だ。
「それにしても…いやー、アーサーが相手役変わってくれるって聞いて本当良かった。」
「ジャン酷い!そんなに嫌がらなくてもいいじゃない!」
「だって、こんな小さいレイチェル様と付き合うって複雑過ぎるんですもん。今日だけで俺はもう胃に穴が開きそうだっんだから…」
「あはは!レイチェルは確かに小さく驚く程若いからな!」
シャナはとても楽しそうに笑っている。
すると、アーサーとジャンは何やら肩を組んでコソコソ話し始める。
聞かれたくなさそうなので聞き耳は立てなかった。
反対を見ると傍でバベルがみんなから離れて静かに座っている。
「バーベールー。人見知りしてるでしょー。少しづつ他の人にも慣れないと。」
バベルに近づくと寒さ避けで着ていたマントでその身体を包む。
マントの中のバベルは身体を一瞬強ばらせたがそれ以上の拒否は無かったのでそのまま抱きしめつつ、みんなの所まで運んでいく。
内緒話を終えたアーサーがそんなバベルを見てため息をついた。
「お前も大変だなー。人に興味ないのに学園の人間関係全部把握しなきゃいけないんだから。」
「全然大丈夫ですよ。」
バベルはアーサーにいつもの愛想笑いで答える。
「バベルは頭が凄い良いし人の機微に敏感だから排除と見守りを上手くやってくれる筈だよ。」
腕の中のバベルを強く抱きしめた。
「ってか、いつも思うんだけど、お嬢ってそいつだけなんか扱い違くない?」
「そうかな?」
アーサーはジャンの肩から手を外すとそのまま近づいてきて私を後ろから抱きしめた。
後ろにアーサー、前にはバベルで私はサンドイッチの具の様に挟まってしまった。
バベルよりアーサーの方が体温が高いので後ろがとても暖かい。
暖かさに誘われる様に思わず後ろに寄りかかってしまった。
すると、シャナがまた大きく笑った。
「あはは、前から思っていたがアーサーはレイチェルが大好きだな。」
「そうだよ。お嬢は俺にとってとても特別だからね。」
「特別…」
バベルの口から言葉が溢れた。
バベルの肩に顔を置き、耳元で話しかける。
「バベル、寒くない?」
アーサーから伝わってる熱を伝えようとバベルを抱きしめる腕に先程より力を込める。
肩に乗せている私の顔を振り向き覗くと頬をくっつけてきた。
最近は素肌の触れ合いも少し許してくれる様になって成長というかその変わり様に嬉しい限りだ。
でも、そんなバベルを見ると何故がアーサーが煩いのだが…
「ほら!またそーゆー事する。」
「貴方も羨ましいならすれば良いじゃないですか。」
「俺が明日からは彼氏役だからみんなの前でやってやるよー。」
「まぁ仲良い彼氏じゃないと意味ないだろうしみんなの前でスキンシップは大事だよね。」
私はまだこの時知らなかった。
アーサーが彼氏役でするスキンシップという物の怖さを……
3年目初日の夜の一幕です。




