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お遣い屋 駒千の備忘録帳  作者: 世渡り
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駒千と一千のウェディングプラン 完 後日談

その後の話


「幸いというかなんとゆうか…君たちねぇ。随分派手なことしてくれたねぇ…」


森羅はいつになく大きなため息を吐く


「すいませんでした。駒千の暴走が止められなくて」


シレっと一千は駒千のせいといわんばかりに山崎に頭を下げる


あれから駒千と一千は会場から誰もいなくなるのを見計らってようやく外に出たのだ


「今回の件。一般客ならまだしも、術者には見破られてるだろうね。せっかく千終が目立たないようにドレスを仕立てのに台無しじゃないか。まぁ…幸いにも祝いの宴の話だし、余興をやれとけしかけたのはあの人達だからねぇ」


「大丈夫…でしょうか?」


「あぁ。それより、あの2人あれから駆け落ちしたらしい。伊吹、よっぽど陰陽師が嫌になったんだなぁ…」


一千と駒千は互いに顔を見合わせる


どうやら、みなあのまま駆け落ちしたとは夢にも思っていないらしい…


とりあえず2人とも首の皮一枚繋がったのだ


「今頃伊吹家は大変らしい。あそこは跡取りがいないからなぁ。まぁでも、伊吹も情が深いやつで妖を払うのを嫌っていたから丁度いいのか」


「それは初耳です」


一千も知らなかったらしい


「いや数年前も山で九尾の狐の妖怪狩りの依頼が伊吹家にあって、その時に依頼者には妖怪狩りをしたといって匿っていたらしい」


(もしかしたら、その時に…)


(出会ったんだな。日和さんに…)




「正式に式神遣いになる気持ち固まったかい?」


以前から森羅に、式神遣いになるか、陰陽師になるのか決めるように言われてきた


一千らと陰陽道も共に学んできたが…


「私、式神遣いになりたいんです」



「それがいいと私も思うよ。おめでとう。君のお披露目の日程が決まった。年明けの1月3日の会合の新年会の日にする」


「1月3日…」


まだ実感がわかない


お披露目なんて自分にはまだ早いと思っていたからこんな形で決まるとは


「女性の陰陽師はそう多くないからね。特別華やかにやりたいから、特別に振り袖も仕立ててもらうように話しをつけてある。それから…」


「千終との婚姻、正式に進めたいと芦屋家直々に連絡がきた。君のお披露目の儀にあわせて婚約を発表したいそうだ」


それには一千が意表をつかれた


芦屋家直々に、というのは両親にも話はついているらしかった


ただ一千だけが、自分だけが知らなかった


(いや、あえて知らされてなかった、のか?)


考えすぎだと頭をふるが不安が拭えない

近頃の千終の様子は随分おかしいようにみえた


いつもしきりに何処かへ出掛けているようで、部屋には禁術とされた術式の本を集めているようだった


それでも世間体はよく、森羅や駒千の前では温厚な好青年なのだ


「婚約…」


甘い響きに駒千は蕩けそうになっていた


「駒千、おめでとう」


かろうじて一千にはそう言うのが精一杯だった


「ありがとうございます!一千さん」


華のような笑顔を見つめると胸が締め付けられるのだった



あれから伊吹夫妻は静かに暮らしている


伊吹は日和の母も住む、九尾の里の中にログハウスを建て、今は2人と妖の母、そして父親の通いもあるそうだ


何故それを駒千が知っているのかといえば、定期的に2人の元に式神を遣わせ、様子を見ているからだ


はじめはこっそり様子を伺っていたが、流石に伊吹は気づていたようで、今では日和が焼いた菓子などを式神に持たせてくれるようになった


そのうち、ログハウスにも遊びに行く予定だ


「さて…と」


森羅は梅雨が開けしばらくは大人しくしていたが、長雨で被害を受けた妖やらから依頼が殺到してるらしく旅支度をしていた


「私はまたしばらく、家を空けるよ」


「お帰りはいつ頃に?」


丹が尋ねる


森羅の留守の間、駒千を守るのは丹の大切なお役目である


「中秋の名月あたりかね、丹。留守の間、駒千を頼むよ」


「心得ました、森羅殿も道中お気をつけて」


「先生。またお帰りをお待ちしてます」


一千が深く頭を下げる


何度も何度も見送ってきたが、駒千はやはり見送りは苦手だ


「必ず、帰ってきて下さい」


「わかってるよ。今の私には帰るべきところがあるからね」



森羅はこうして井戸の中に旅立っていった


梅雨は開け毎日暑い日々が続いている


こうして季節は移ろっていく。










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