祭りの前の…
妖と人間との宴も終わり、校内はすっかり文化祭モード一色
友人の優麻と当日は回ろうと考えていた、駒千だったが生憎当日は部活の陸上部の催し物で忙しいらしい
そういえば去年もそうだったと今さら思い出す
去年は千終がきてくれたので2人でゆっくり回れたのが遠く懐かしい
今年は何だかんだと最後にみたのは3月の末の駒千の誕生日だ
あれから婚約話は森羅から伝えられたが、千終からは音沙汰はない
森羅も森羅で、帰宅する様子がなく時々森羅の式神が手紙をよこすくらいだ
別に文化祭は一人で回ってもいいのだけれど、なんとなく最近は寂しく感じる
(あっ…)
++++++
「文化祭?」
佑衣が驚いたような声をあげる
通話中らしく、どうやら次の週末に出かけるような話をしているらしい
奈津はリビングで塾の課題をこなしながら、こっそり耳を傾ける
週末、佑衣が出かけるなら少しゆっくりできそうだな、と奈津は企む
年の離れた兄は奈津には特に厳しく、奈津は佑衣が苦手だった
両親が奈津に甘い分、佑衣は厳しい
課題や宿題も自分の部屋でやりたいのだが、適度な生活音は勉強がはかどるからという理由で佑衣は奈津にリビングでの学習を強要している
夏休みに姉の駒千に会いに行った後はあまり怒られなかった
駒千が怒らないように頼んだのもあるが、あの厳しい佑衣が妹には甘いという意外な一面を知った
奈津には詳しくわからないが、姉の駒千はちょうど奈津が生まれた頃に親戚の家に預けられたらしい
駒千の存在を知ってからも会うまではずっと期待をしており、同級生からは「そんな期待してブスだったらどうするんだよ!」とからかわれるほどだった
実際に会ってみると駒千は色白の美少女で、想像をはるかに越えていた
そのうえ優しくて、奈津はとても好きになってしまった
「奈津、今週末文化祭に連れてってやるよ。駒千の学校のな。母さんには秘密にしろよ」
「姉さんの!?」
思わず声をあげる
駒千はやはり優しい。こうしてまた奈津を誘ってくれるのだから
「声デカイ。母さんに聞こえるだろ」
佑衣が頭を叩く
駒千と母にはなにか確執があるらしく、駒千に関する一切の話題は母に触れてはいけないのだとゆう
早くに駒千が家をでたので、複雑な事情があるのだろうがその一切を奈津は知らない
なにはともあれ、駒千に会えるのは久しぶりだから楽しみだ
++++++
その頃、駒千は
「最近、妙に妖たちが騒がしいのよねぇ」
不穏な空気を悟りながら駒千は長い髪の毛に指を通す
駒千は山崎亭に着てから髪を伸ばし始めた
術者には髪を伸ばしている者が多い
髪には霊力が宿るため、みな丁寧に手入れしている
中には互いに髪の毛を交換して持ち歩いている者もいるという
(妖気が濃い…もしかして妖たちが集まってきているの?)
「駒千!こないだの烏天狗がきていますよ」
帰宅すると早々に丹に呼び出される
「烏天狗が?」




