妖退治 中編①
駒千は棗小学校に訪れていた
名門校だけあってやはり外観も立派だが夏休みも後半。プールが中止だということもあってか夏休み中の校内に人気は少ない
「駒千、きたのか。待たせて悪かったな」
クールビズのスーツ姿の一千を初めて見た
一千の仕事について詳しくは知らないが、前に公務員と言っていたのを思い出す
「大丈夫です。今来ましたから」
「関係者に話を聞きにいっていたんだ。校内を自由に見て回る許可はとってあるから。一応これつけて」
学校関係者という紐がついたプレートをさげる
「タダイマ、モドッタヨ」
真っ黒な烏が駒千の肩のとまり片言で話し出す
「新しい式神か?」
「羽黒です。なかなかリアルでしょう?羽に烏天狗の羽を混ぜてあるので烏というより、烏天狗に近いです。まだ日も浅いのですがそのうちもっとお喋りは達者になるはずですよ」
駒千愛しそうに羽を撫でてやると気持ち良さそうに目を細める
一千は被害のあった場所をまとめた資料に目を通しながら説明する
「被害が起こったのは7月。プール開きの後、プールに大量の水草が湧いてきたそうだ。業者を呼んで掃除をしたがそういったことが続けてあったらしい。プールの更衣室には、明らかに人ではない足跡が沢山ついていたらしく…妖の知識がある学校関係者が陰陽師に相談してきたらしい。はじめは単なるイタズラだろうと、陰陽師を呼んで駆除したり、お札を張ったりして対応したらしいがそれも数日もつばかりで、またすぐに水草は浮き更衣室は荒されたそうだ。そのうちにプールだけじゃなく学校の水場のあらゆるところから水草が湧くようになったというし」
その水草は水妖怪の印だ
水妖怪の棲む川には水妖怪の唾液や体液の成分で作られる水草があると聞いたことがある
「周辺の様子を羽黒に視察してもらったんですが、」
「プール、草、ハエテル。妖ノ、クサ」
羽黒に手を添えたまま駒千は目を閉じる。そこから羽黒がみてきた情景が駒千に流れ出す
「おそらく、原因はプールではないと思います。だからや札や術では根本的な解決にはならなかった」
目を閉じながら駒千は分析する
「黒い足跡。三本指…一千さん私は水の妖には詳しくないのですが…黒い足跡とは」
「黒い足跡か…」
少しの間一千は考えこむが、ハッと思い当たる節があるかのように端正な顔をあげた
「それ…黒い足跡じゃなくて血なんじゃないか?」
確かに緑っぽい体液と血液が混じったような色味だ
急激に危険性が増してきた
「現場を見ておきたいが、危険すぎる。もし人間に傷つけられたことがきっかけなら、怨念が生まれるだろうしやりにくい」
苦虫を潰したような顔をする
「もし、そうなら人間を襲うかもしれません、生徒に被害がでるかも。一千さん、民間に広がらないように、学校周辺に結界をお願いします」
「わかった、駒千今日は帰ろう。もう少し情報を集めないと」
*****
一千と別れ校門をでようとすると、例のプールのフェンス脇に小学校中学年ほどの少年たちが数人いた
「なぁ、やっぱりあれって怪物だったのかな…」
「知らねーよ!俺は見てないし。」
「お前がパニくって、石を投げたりしたからさー」
「なぁやっぱり呪いなんじゃね?」
フェンスに張り付いて何かを話している声が聞こえる
「こんにちは、なんの話ししてるの?」
駒千は話の内容が気になり思いきって話しかけると3人組のいかにもトリオ風の男の子たちはいっせいに駒千に振り向く
「誰…」
「私、プールを直しに来たの。貴方たち、なにか原因知らない?変なモノをみたりしなかった?」
変な人なら今見てますが、といわんばかりに烏を肩に乗せた美少女と烏を交互に見た
「烏、それ本物?」
「すっげーー!」
羽黒のおかげで小学生男児の気持ちをしっかりとつかんだところで話を聞く
「君たちがさっき話してたのってプールのこと…だよね?よかったら教えてもらえないかな?」
「それは…」
「信じないかも知れねーけど…」
少年たちは前置きしてから話始めた
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