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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
五 サヨナラ
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生と死 11

 いつもは細い目が大きく見開き、不安と絶望を滲ませて俺に訴えているように見えた。


 ――“助けて”


 立ち上がる俺に、クラクションを鳴らした車の運転手が、「大丈夫かぁ?!」と声をかけて、助手席の女の人が、「警察! 電話!」と慌てた様子で叫んでいた。

【赤い蛇】がらみだと警察がまともに動かないとわかっていた俺は再び自転車を漕ぐ。

 さっき倒れた時に捻挫したのか、左手首と左足が酷く痛んだ。


 ――見えた!


 ハイエースがまた信号に引っかかって停まっている。

 迫る俺に気が付いた男が、窓を開けて、「ひき殺すぞ!」と叫んでいた。

 まだ赤にもかかわらず、車を発進させようとする。

 次の瞬間、


「あっ………!!」


 一台のオートバイがハイエースの助手席側から突っ込んでいった。


 ドン!と物凄い衝撃音が響いた。

 大破するバイク。

 飛んでいくライダー。

 割れるガラス。

 凹み、衝撃で反対車線に押し出されるハイエース。


「キャァァァ!!」


 歩道を歩いていた人が悲鳴をあげた。

 唖然としていたら、頭から血を流した男が後部座席からふらり、と降りてきた。


「い、いない!?」


 ボタボタ落ちてくる血を抑えながら、つっこんっで来たバイクの運転手を探しているようだ。

 ハイエースは動かないようで、反対車線をせき止めし、周囲を大混乱に巻き込んでいく。


「く、いくぞ!」


 男達が全員ハイエースから降りて、一目散に逃げていった。


「山城!!」


 車内に残された彼女を見ると、ガタガタと震え、シートの下でうずくまっていた。

 どうやら怪我はしていないようだ。

 救急車とパトカーのサイレンが聞こえてくる。

 山城の猿轡を外して、手首に巻き付けられていた紐をほどいてやると、「せんぱい……」とか細い声で泣かれて戸惑った。

 訊きたいことは沢山あるけど、とりあえず危険な場所から移動しないといけない。

 山城の手を引き、歩道に出る。

 突然現れたオートバイ。

 しかし消えたライダー。

 破片が散らばる道路に、白い紙が落ちているのを見つけた。


 ――人の形。

 形代。

 呪文と図。


 これも、陰陽師、滋岡道中の仕業であることに気が付いた。







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