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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
五 サヨナラ
98/225

生と死 10

 明らかに神社とは逆の方向だ。

 山城も拉致されたに違いない。

 ペダルを漕ぎながら汗が体中から噴き出す。


 閑静な住宅街。

 殆ど人の通らない脇道。

 暗闇に浮かぶ赤いテールランプ。


 ――見つけた!


 信号待ちの黒いハイエース。

 見覚えのある赤い蛇のステッカーが貼ってあった。


 ロックされていないことを祈りながら、死角から近寄って後部座席側ドアノブに手をかけた。

 カチッ!と手応えがあった。

 自転車に股がったまま、思い切りドアをスライドさせる。


「!」


 視界に入ったのは、驚く手前の若い男、そして拘束され、猿轡をされた山城、その隣に中年の太ったオヤジ。

 犯罪の匂いのする車内と淀んだ空気に一瞬怯んだが、彼女に手を伸ばした。


「山城!」


「なんだ、おまえっ!」


 手前の男が俺を蹴飛ばそうとする。


「そいつも連れてけ!」


 運転席の方から聞こえた。


「男ばっか要らないって!」「どっちにしろ足らないんだ、引きずりこめ!」


 俺を足蹴りしていた男が言われるがまま、今度は俺の腕を引っ張る。踏ん張って抵抗していると、


「くっ!! さっさと乗れよ!」


 いつの間にか後ろに停まっていた車が、クラクションを鳴らした。

 信号が青に変わったのだ。


「そいつはもういい、行くぞ!」


 勢い良く突き飛ばされ、自転車ごとひっくり返った俺の横を、ハイエースがゆっくり動く。ドアが閉まる直前、涙目の山城と目が合った。





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