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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
五 サヨナラ
94/225

生と死 6

 * * *


『呪詛合戦。スマホゲームよりスリリングだよ』


 新宿からの帰路途中、電車に揺られながら、滋岡道中の言葉を頭の中で何度も反芻した。


 ――合戦。

 楽しそうな響きだけど、有名な童話の【猿蟹合戦】に描かれているように、どちらかが死ぬまで続ける闘いも含まれる。

 俺と滋岡道中が呪い合う?

 歴史は繰り返されるってか?


 滋岡はあえて言わなかったが、俺が何者であるか、そして父の安倍晴明にかけた、“末の息子が十八歳で必ず死に、転生を繰り返す″という先祖の滋岡川仁の呪いのことも霊視で悟ったのではないか。

 それを確かめるため、もしくは俺の息の根を完全に止めるために、あんなことを思いついたのだろうか?


『死なない程度の災難を相手に送り、どちらかが ″参った″というまで続ける。それで俺に勝ったら直ぐに友人の捜索に手を貸そう。あまり時間のない事件みたいだから今からやる。橋本くん、ここのビルから出た時から気を付けるんだよ』


 滋岡は呪詛返しを恐れてなかった。

 つまり、俺にその力はないと見てるからだろう。

 そんな俺と闘ってなんのメリットがある?

 それとも、ただ相手を恐怖に陥れて楽しみたいだけなのか?


 わからない。

 それに、呪詛なんてしたこともないし、滋岡に届く呪術なんて俺は知らない。


 今更だけど。

 呪詛についての本を図書館で借りた。

 前世の記憶は、陰陽道について祓いと結界、簡単な解呪の方法くらいしか残っていないからだ。

 途中、腹が減ったので、母さんの作った弁当を外のカフェで食べる。

 丁度昼休みの時間帯なのか、サラリーマンやOLが多くなってきて話し声がこちらに流れてきた。


「この死んだヤストって元々ソロ活動したがってなかった?」


 ヤスト?

 誰だっけ? 芸能人?

 何気に、スマホでネットニュースを見て驚いた。


【続報!《エデンの勇者》のギタリスト ヤストの謎の自殺報道に悲観したファンが都内で後追い自殺】


 あの、えげつない音楽グループのメンバーが自殺……よりによって7/13の今日。

 しかもファンが既に三人死亡……。

 怪しいな。

 現場に霊視にでも行けば、死の真相がわかったかもしれないが、今はそんな暇はない。

 滋岡に呪いをかけないと、こっちに呪いがかかってしまう。


 空になった弁当箱を片付け、椅子から立ち上がったその時、ブウウンと大きな羽音が背後から聞こえてきた。

 とても耳触りな音で、アブか何かだと思って振り向くと、それは驚くくらい大きなスズメ蜂だった。






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