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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
五 サヨナラ
89/225

生と死

 播磨国印南郡に道満法師という者がいた。

(中略)彼は仏法に背いた高慢で非法乱行の徒だったが、占いの技に優れ、霊験を顕したりもするため世間の人は彼を畏れ尊んだ。自分でも、陰陽五行天文地理易暦では、天下に並ぶ者がいないと慢心していた。

 そんなとき、都で天皇の病気の原因を占いで解き明かし、官位を授かって朝廷に仕える安倍晴明という人物がの噂を聞く。道満は晴明を妬み、「晴明と競い、これを打ち落とせば、天下の名人と言われるに違いない」と考え、上京し晴明と対決することに。


(中略)対決は禁中の紫宸殿で行れることになった。

 いよいよ対決のとき。

 最初に道満が小石を投げ上げると燕に変じる。皆が感嘆しているところで、晴明が扇を一あおぎすると燕は小石に戻って落ちた。

 次は晴明が祈念すると龍が雲より下り雨を降らせた。

 道満は術を駆使するが、雨は降り止まない。

 腰の高さにまで水位が増そうかという時、晴明が呪文を唱えると雨が上がり、観客は驚き、賞賛の声を上げた。

 そこで道満が「こんなことは魔法非道だ。占いの技で勝負を決しよう」と呼びかける。

 さらに「負けた方が勝った方の弟子となることにしよう」と申し添えた。

 奥で長櫃に夏みかんを15個入れ、上に重しを乗せて観客の眼前に出された。

 道満は占った末、「中には夏みかんが15個ある」と答えた。

 中身を知っていた天皇や公卿たちが道満が正解したと思ったそのとき、晴明が長櫃に近づき加持し直し「中身はねずみ15匹である」と言う。天皇公卿は晴明が間違ったと思ったが、ふたを開くと、15匹のねずみが駆け出してきて四方に逃げ去った。

 長櫃の中に夏みかんなど影も形もなかった。

 道満は晴明に及ばなかったことを恥じ、晴明の弟子となった。


(『簠簋抄』より)



 ――――



「おはよー、リリ、朝から読書? 」


 登校するなり、図書館本を読む私の手元を覗いた加奈が、「なに、その激つまんなそうな本!」キワモノでも見たような目をした。


「ちょっと調べたいことあって、陰陽師のことが載ってるもの片っ端から借りたの」


「おんみょおじぃ?」


「うん、知らない?」


「いや、知ってるけど。あれだよね、テレビで悪霊の出る家でお祓いとかしてた……」


「そう」


 それは、きっとこの前、ホテルを霊視していた滋岡という現代の陰陽師のことだろう。

 他にも陰陽師という自称肩書きで活動してる人はいるけれど、今の日本では、陰陽師といえばあの人だ。


「その人、この前、お昼の番組でメチャクチャ叩かれてたなぁ」


「え? そうなの? なんて?」


 加奈が、人差し指を顎に乗せて少し考えて、たしかーと、のんきな声で答えた。


「″インチキ陰陽師、滋岡道中に霊能力はない。予知も霊視も適当でデタラメだ″って。占ってもらった芸能人一般人が顔面モザイク入りで証言してた。個人情報や知人に事前リサーチしてから占ってるって」


「占いとか、誰でもそういう疑いの目を向けるよ。でも今さらだね、あんだけテレビにガンガン出させて番組作ってたのに」


 炎上商法でもやる気なの?


「私が思うに、きっと【エデンの勇者】とかその芸能事務所を批判する発言をYouTubeやら動画配信でしたからだと思うよ」


「YouTube……加奈、それ見るくらい陰陽師好きだったの?」


「勝手にオススメで【現代の陰陽師 殺人事件の霊を探す】とかで上がってきたの!」


 ほら、とスマホのYouTubeのホームを見せてきた。











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