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一 つかれている 7
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山城りりに憑いていたのは、あの旅館で彷徨っていた、数十年も前の殺傷事件の被害者だった。
と言っても、あの宴会場で亡くなったわけでなく、事件に巻き込まれて重傷を負い、時間を空けて亡くなった女性の霊だ。
加害者が暴力団で、現場では客も死亡していないため、あまり大きく取沙汰されていない乱闘事件だったが、被害者はその後の人生が狂わされた無念で、時々霊感のある客が来た時に、ああいった幻を見せるのだろう。
見せるだけなら良かったが、山城と波長が合ったのかついてきてしまったようだ。