白と黒 12
でも。
うちの神社で丑の刻参りしてたオカルト団体と、【ゴールド・スター】は関連性はあるのかな?
悪魔と鬼と崇拝する対象が違うし、それに同じ黒魔術でも血生臭さが段違いのような……。
もし、【ゴールド・スター】が堀先輩の行方不明に関わってるのだとしたら、一体どこに拘束されてるんだろうか?
今頃、無事でいるんだろうか?
「そういや、リリの部活の先輩、神社に行ったきり帰ってないんでしょ? 見つかったの? 皆、場所が場所だけに神隠しって言ってるよ」
加奈がついでのように訊いてきた。
「まだ。ちょっとメッセージ送ってみる」
どうせ既読にはならないだろう、と思いながらも何度も送った同じ文言のメッセージ。
【皆が心配してます どこにいますか?】
――え?
今日のは直ぐに既読がついた。
「う、そ」
「どうした? 面白い顔して」
「堀 先輩に連絡つくかも!」
私は咄嗟に電話をかけた。
けれど、電話は取ってくれなかった。ううん、取れなかったのか。
もしかしたら、橋本先輩が電話をかけたら取ったかも。
「ちょっと、三年生のところ行ってくる」
「えー、もうすぐホームルーム始まるよ」
居ても立っても居られず、私は橋本先輩の教室に向かった。
お父さんからは、部活以外は関わるなって言われていたけど、だからなのか尚更、顔見て話したくなった。
先輩は大体どんな時も“話しかけるな”オーラを出していて、近寄りがたい。
でも、ある程度心を許した人になら、その堅い殻から少しだけ素を見せてくれる。
それを見たことのある私は、心の何処かで勘違いしてたのかもしれない。
だから、おかしなことを口走ったりしたんだ。
教室に入ろうとする橋本先輩の背中を見つけて、
「はし……」
声をかけようとして言葉を呑み込んだのは、先輩が珍しく笑顔で同級生と挨拶を始めたからだ。
「あれ、なんか今日の橋本君、ご機嫌?」
その中には女子も含まれて、先輩の変化に嬉しそうにしていた。
見慣れない光景に戸惑う私。
――先輩、普通の人になってる。




