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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
四 未解決事件 second
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白と黒 4

 しかし、眠い。

 昨夜は、堀の件で邪念が入ったのか、似顔絵を見ても犯人の男の素性はわからなかった。

 ただ、山城が細かく描いた特徴――ほくろ、痣、そして見るからに高そうな腕時計は俺の記憶にもハッキリ残っている。


 文字盤に【HUBLOT】というロゴ。

 なんて読むのか。

 ウブロ?

 ネットで検索したらビッグバンという時計で、蛇柄が特徴のそれは、9年前に本数限定で発売されたようだった。

 それを持っているということは、よほどの金持ちかコネがある人間か。

 滋岡が言っていた“身内に大物”はほぼ間違いなさそうだ。


 学校へ行くと、三年生の間では、堀が行方不明だとして皆が噂していた。


「弓道部の堀って、確か、長野朝美のことが好きだっただろ?」

「今度は部の後輩だってよ、夜中に出掛けるとかどんだけ」

「神社の娘って可愛いのか?」


 やっぱり、皆、色恋の方を話題にしている。


 帰りのHR前、山城リリが俺の教室をたずねてきた。


「橋本先輩ちょっといいですか?」


「あぁ……」


 そんな彼女を周りの連中が好奇に満ちた視線で刺す。


「あれが神社の娘って」「え、え、フツー、てか、地味」


 それを気にした様子もなく、山城が難しい顔をして話した。


「朝から父が警察に被害届け出したようなんです。堀先輩のご両親も捜索願いも出されたみたいで……」


「ラインで顧問が言ってたね」


「で、父から連絡があって」


「うん、なんて?」


「警察は藁人形や、灯油が撒かれたくらいじゃ動けないと言ったそうです」


「脅迫の文書もあっただろ?」

 

「それ、父が撤去した藁人形と一緒にお焚き火にあげちゃったんです」


 おいおい、と言いたかったが、その時点で神主は事が大きくなるとは思ってなかったんだろう。


「じゃ、堀が、見張っていて事件に巻き込まれた可能性については?」


 山城が首を横にふる。


「私もそれを実際にやったとは言い切れなくて。半分冗談だと思ってたし。せめて防犯カメラでもあったら良かったんですけど、それはお賽銭箱の所にしか設置してなくて」


 今にも泣きそうな彼女は、恐らく眠ってないのだろう。顔色が悪い。


「そうか。そのお賽銭箱のカメラに何か映ってないのかな」


「一応、警察にそのデータは渡してます」


「それ、俺も見れる?」


 山城が顔を上げた。


「もっと、親身になって山城の話を聞いていれば良かった。今日は部活ないし、学校終わったら神社に行ってもいいかな」


 我ながら呆れる。

 また、厄介な事に足を突っ込んでしまいそうだ。






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