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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
三 未解決事件
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男を食らう鬼 22

「ほんとですか?」


「あぁ、まるで写真みたいだ」


 こんなに絵で褒められたの初めて。()()橋本先輩からだから尚更嬉しい。


「弓道部より美術部に入った方が良かったんじゃないか?」


 それは微妙。


「そんなことより、その絵を持って警察にでも行くんですか?」


 言ってはみたものの、それが非科学的で何にもならないだろうことは察しつく。

 先輩は、絵を丁寧に折りたたんだあと、大事そうにシャツの胸ポケットに入れて言った。


「このホテルで霊視するのも限度があるし、後で霊視する。何とかこいつの名前まで割り出したい」


「私が描いた絵なんかで霊視できるんですか?」


「できるさ。山城には被害者が憑依してるし」


「えっ!!」


 私が目を見開いて背筋を凍らせてると、先輩が笑った。


「冗談だ。彼女はもうここにはいない」


 無念さの塊りみたいなものを感じるが、彼女は犯人じゃなく、たぶん残された子供の行方を探してるから彷徨っている、だから、難しいんだと、神妙な面持ちで先輩は続けた。



  二時間はあっという間だった。

 ホテルから出る時は、入る時よりも慎重に注意深く周囲を見た。

 補導員がいたら面倒だからだそう。


「靴、大丈夫そうか?」


 先輩が私の足元を見て気遣う。


「はい、普通に歩けます」


「怪我は?」


「はい、それも平気です」


 ただ、伝線したストッキングを脱いでるので気持ち落ち着かない。替えを持ち歩いてこそ大人の女なんだと思った。


「メイク取ったら、いつもの山城だな。そんな服着てても、ちゅうが……」


 恐らく、“中学生”と言おうとした橋本先輩の足が止まった。


「……?」


 先輩の視線の先を追ったら、ホテルの駐車場入り口で、上を見上げている男の人がいた。

 二十代? 三十代?

 高級そうな服をピシッと纏ったかなりのイケメンだ。


「知り合い、ですか?」


「いや……向こうは俺なんか知らないだろう」


 答えた先輩の顔が少し怖かった。

 その男性に注視したまま動かないので、私もそのイケメンを見つめる。

 そしたら、気がついてしまった。


「先輩、あの人、芸能人でしたっけ?」


 テレビで見たことがある人だって。


「あぁ、“現代の陰陽師 滋岡道中” だ」


 冷めた声を出す先輩の目には、まるで憎しみが宿っているようだった。


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