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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
三 未解決事件
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男を食らう鬼 14

 電車の中でも、先輩はほぼ話をしなかった。

 ただ、


「急に悪かったな、親に叱られたら俺のせいにしていいから」


 と、私が無理をしてることを察してくれたようで、それだけで不安が少し和らいだ。



 ――しかし。


 電車から降りて、先輩の後をひたすら付いて行った先が、とてもいかがわしい所だったので、私の不安はリターン。


「せ、先輩、こ、ここ、ら、ラブホテルですよね」


「ここは男一人では入りづらい……」


「入りづらいってか、そもそも十八歳以下は入れないんじゃなかったですっけ?」


 初めてのデートであまりにも展開が急だ。


「だから、それなりに見えるようにって言ったんだ。まさか、PTA感で攻めてくるとは思わなかったけど」


「わ、私、か、帰ります!」


 先輩に憧れてはいるけれど、こんな感じでロストバージンは嫌だ。

 向き直って走ろうとしたら、カポッ! とパンプスが片方抜けて、私はスッ転んでしまった。


「おい、平気か?」


 痛みと恥ずかしさで立ち上がれない私。行き交う人たちがジロジロ見て笑っている。


 ――平気なわけないじゃない。


 足元を見たら、パンプスのヒール部分が溝の蓋の穴に見事にハマっていた。


「別に取って食おうってわけじゃないんだから、必死こいて逃げる必要はない」


 私の手を取って、引っ張りあげながら橋本先輩が笑った。


「……じゃ、何しにこんな所へ?」


 パンプスを引き抜くと、ヒール部分が外れそうになっている。


「接着剤、コンビニで買ってから入ろう。あと絆創膏も。……霊視に付き合ってもらえないか」


「れ、霊視!?」


 擦りむいた膝をはたきながら、私は素っ頓狂な声を上げた。

 先輩、私、ちょっと霊感あるからって、怖いの平気なわけじゃないんです!

 と、言ってみたけれど先輩は聞いちゃいなかった。

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