表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
三 未解決事件
52/225

男を食らう鬼 13

 * * *


 どうしよう。

 橋本先輩に夜デートに誘われてしまった。


『くれぐれも成人に見える格好で来てくれ』


 と、頼まれたものの。

 もともと童顔で飾り気の一つもない私は困った。しかも急だし。前もって言ってくれれば、加奈なり悠里なりアドバイスを受けられたのに。


「三年生で引退する人がいて、送別会だったの忘れてたの。遅くならないようにするから」


「送別会? 平日の夜にか?」


「ちゃんと大人も来るんだろうな」


「うん、くるくる」


「あ、おい、どこであるんだ? それに、お前、その恰好――……」


 夜に出掛けるなんてめったにないから、両親が心配するのも当然だった。お父さんがまだ何か言っていたけど振り向かずに家を出た。

 これを逃したら、きっと、橋本先輩が私を誘ってくれることなんてなくなる。


 住宅街に、不慣れなパンプスの、スポッ、カポッという拍子抜けした音が響く。

 三歳年上の姉が、大学の入学式の時に履いてたやつを黙って借りてきたのだった。


 急ぎ足で待ち合わせ場所の駅に行くと、既に橋本先輩がいた。


「お、お待たせしました」


 ほぼ制服と道着姿しか見たことなかった橋本先輩の私服。

 眩し過ぎて倒れそうだった。

 ゆとりある開衿シャツが、先輩のスマートな身体のラインをさりげなく主張して、それを細身のボトムズでしめてる。

 なんてことのない服だったけど、


「先輩、大学生みたいですね」


 妙に興奮してしまった。

 しかし、先輩は相変わらずクールな目をして私を見つめる。


「高三だからな、あんまり大学生と服装は変わんないだろうけど……お前はあれだな、婦人会の集まりみたいだ」


「え」


「それ、お母さんの服でも借りてきたのか?」


 いや、むしろ引いている。


「ち、ち、違います。上から下までお姉ちゃんの服を借りてきたんですよ」


 先輩が成人に見えるようにって言ったから、よくわからないメイクまでして。


「そんなスーツ、小学校の入学式の保護者しか着てないだろ。……ま、いっか」


 そんなことは大した問題じゃないといった感じで、先輩は駅の構内にさっさと入っていく。

 せめて目的地くらい教えてほしいものだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ