男を食らう鬼 11
補導員らしき男に呼び止められる。
「ダメじゃないか、子供がこんな所うろついてたら」
捕まっている間に、A子を見失った。
また、現れるだろうか?
「道に迷いました! 帰ります!」
「あ、おい!」
補導員がまだ何か言いかけていたけれど、構わず走って逃げた。
あんなのに付き合ってる時間はない。
何故かわからないけれど。
この未解決事件のカタをつけなければ、次の生まれ変わりさえできないような使命感に支配されていた。
その週の土曜日。
立練が思い切りできると言うのに、堀が部に姿を見せなかった。
「あいつはやっぱ怠けたヤツだな。三年生で出てきてないのは堀だけだろ」
顧問たちが呆れている中、山城リリが少し怒った表情でそれを聞いていた。
今日の彼女の的中率は四割程度とあまりよろしくない。
性格が素直な分、すぐに的中率に影響を及ぼす。
前世の彼女はもう少し大人びていたが、それは巫女という仕事柄からだったんだろう。
俺も人のことは言えないが――。
そういえば、神社の敷地内に藁人形が打たれていた件はどうなったんだろうか?
練習後にそれとなく訊いてみると、やはり好転はしてないようだった。
「“藁人形禁止”の貼り紙のせいか、最近、神社に嫌がらせされるようになって……」
「嫌がらせ? どんな?」
神聖な場所に、罰当たりな人間がいるもんだな。
「一日 、一体だった藁人形が大量に打たれるようになったり、境内のどこかに灯油が撒かれてて、″警察に言ったら火を点ける″って手紙が置かれてたり……」
「脅迫じゃないか」
山城が青白い顔をして頷く。
「それを堀先輩に話したら、犯人を直接捕まえて注意すればいいって、昨夜、境内で張り込みしてくれてたみたいなんです」
校門から出て、彼女に合わせてゆっくりと歩いていた俺は、思わず足を止めた。
「……なんだって?」
「だから、今日は眠たくて部活来れなかったんだと思います」
俺は、無性に腹が立った。
「そんな危険なこと、直ぐにやめさせろ」
見えない霊にはあんなにビビっていたくせに、何で丑の刻参りをする人間は恐くないんだよ。
「私も、危険だからしなくていいって言ったんですけど……」
山城のため息が深い。
彼女も呪いのことは少し分かっているようだ。
丑の刻参りをしてるところを絶対に人に見られてはいけない。
もし、人に見られたら、呪いが自分に跳ね返ってくるから、見た人を殺さないといけないとされている。




