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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
三 未解決事件
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男を食らう鬼 10

 俺は、逃げられないように、霊の動きを封じ込める護符を取り出し、路地の入口と出口にそれを置いた。


「あなたを苦しめるつもりはないよ」


 A子が、行ったり来たりしてるのを見ながら、再び問いかけた。


「あなたを殺したのは誰? そしてどこで事件に巻き込まれたの?」


 俺が近づくと、この前のおばあさんの霊のように頭を押さえて痛がった。


「言えないのなら、ヒントをくれ。あなたを殺した犯人を捜したい。そして罪を償わせたい」


 そうでもしない限りA子は成仏できないし、あのマンションにも悪い氣が溜まる一方だ。

 俺が出口の護符を取り除くと、A子がゆっくりと移動し始めた。


 A子の姿が見える人間は俺だけなのか。

 誰一人として彼女をよけて通る者はいない。

 見えたら間違いなく通報レベルのイデタチだ。


 喧騒の街中から少し外れた所に7階建てのラブホテルがあった。まだ夕方だというのに出入りする男女がいて、制服でうろつく俺をジロジロ見ている。

 入口前でA子の動きが止まった。


「ここ? あなたが殺されたのは……」


 俺の問いには答えないで、三階付近を見上げたまま悲しそうに泣き出す。


「あなたが取った客が犯人なのか? 行為の途中で首を絞められたのか?」


 現場で霊視すれば、犯人の顔がわかるかもしれない。


「当時、どの部屋を使ったか教えてくれ」


 しかし、A子はゆっくりと首を横に振った。

 覚えてない、ってことか?

 でも、三階のどこかなんだろう。せめてフロアに行けば視えるかもしれないのに。制服であるために入れない。


「あなたを殺した男は、どのあたりにいる?」


 その質問をした直後、A子がスッと姿を消した。


「あ、」


 追いかけようとしたら、


「君、高校生だよね?」



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