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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
三 未解決事件
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男を食らう鬼 6

「……ここ、何か事件あった?」


 車から降りて、少し近寄るとマンションのある場所に、霊のたまり場を見つけた。淀んだ暗さに加えて、何となく、すえた死臭のようなものも仄かに感じる。

 おそらく、これは霊感のある者しかわからないだろう。


 しかし、父さんも、あえて見ないようにしてるのか、視線をモール街のほうに向けたまま答えた。


「……何年も前のことなんだけどな。遺体が見つかったんだ。殺された女性の」


「部屋で?」

 

「いや、非常階段の踊場だ」


「そう」


 そこも含めて、マンションの裏側には浮遊霊や地縛霊たちが数体集まっている。


「ま、そんなこと気にしてたらこっちは仕事にならんからな。一時間後を目安にこの駐車場で落ち合おう、じゃあな」


 老舗の宝石店へと向かう父さんを見送ったあと、俺は、そのマンションへと近づいた。


 気のせいではなく。

 女の悲痛な泣き声が聞こえたからだ。

 霊を見ても怖さなど感じない俺は、今までも散々、向こうから近寄ってきた。

 その度に結界を作り、関与しないようにしてきたけれど――


 なぜか、今日は自ら近寄った。

 頼まれもしないのに、霊障もないのに、霊のために動くなんて、霊能者でもやらないだろう。

 しかし、なんとなく、このマンションから漂う、無念に近い悲壮感を放ってはおけなかった。


 俺は遺体のあったと言われる現場の前で、先ほど聞こえた泣き声の主を探した。

 そこには、声とは関係のない霊体が蠢いていたので、心の中で尋ねてみた。


 ″ここで泣いていた人、どこに行ったか知らない?″


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