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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
二 渦
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ひと を 呪わば穴ふたつ 26

青龍せいりゅう白虎びゃっこ朱雀すざく玄武げんぶ勾陳こうちん帝台ていたい文王ぶんおう三台さんたい玉女ぎょくにょ


 有名な九字ではない呪文を唱えながら、人差し指と中指の二本で空中に四縦五横の格子を描いていた。


 ――それも、知ってる!


 こんな時なのに、二次元で見ていたものが目の前で繰り広げられ、私は興奮した。


 ――橋本先輩、凄い! 映画にも出てくる『破邪の法』ができるなんて!

 先輩ってやっぱり普通の高校生じゃない!


 橋本先輩が描いた格子の中に入ろうとした

 ()()()が、一本一本が刃となった格子にバラバラに切り裂かれているのか――

 黒い霧がチリチリに散って蒸発していくのが私にはボンヤリ見えた。


 橋本先輩は、空中を切った右手指を、鞘にも見える左手に静かに納めている。



 か、かっこいい……――


 おまけに、なんとなく部屋全体が明るくなったような……。


「悠里……」


 霊体から悪い気を受けていたと思われる悠里も、少し顔つきが柔らかくなっているみたいだった。


「な、千尋、今ので除霊できたの? 今度こそ一件落着?」


 堀先輩が、私の背後から橋本先輩に尋ねる。


「……どうかな」


 しかし、橋本先輩の表情は冷たく唇も強く引き結んだまま悠里を見ていた。


「どうかなって、じゃあ、今やってた忍者の術みたいなの何だったんだよ!」


「最初に言ったろ。ここは鬼門で霊道。そしてあくまで一時的に剝がした状態だから、完全に浄霊できてない限り、また戻ってくる可能性がある」


「またって……」


 堀先輩だけじゃない、私も、ぼんやり話を聞いていた悠里本人も、身震いをしていた。

 先ほどまでは、赤い服を着た女の霊がいたという……。

 浄霊というのは、少し霊能があるくらいでは出来ないのだと、やはりそれには神通力がいるのだと言った。

 良い施術者(霊能者)とは言霊(お経・祝司)の力を使い、己の魂の力=波動と神仏の力を使える者であって、橋本先輩は自分はそうじゃない、と言う。


「じゃあ、どうするんですか?」


 はじめに引っ越しではなく、試す、と先輩は言った。


「除霊と浄霊は違う。ついている霊の魂が鎮まらない限り成仏はできない。しかし、今祓った霊でなくもっと強い霊が来ても、井川次第では寄り付かないし憑りつかないようになる。そのうえで結界を張れば霊障は起きないと思う」











 



 




 

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