ひと を 呪わば穴ふたつ 22
「……そうなの?」
悠里が頷く。
「中学校一年の時に同じクラスで、私もそこそこ目立ってたから同じようなグループに入ってつるんでた」
その話に違和感はない。
朝美も悠里も、見た目も性格もあか抜けてるし、似たようなタイプだと思う。
「でも、朝美が好きな男の子が、私に告ってきてから関係がギクシャクなっちゃって」
続くリア充の話に羨ましさを感じつつ、イメージしたら、それは最悪かもと思った。
「今と変わらず学校で一番の美女だったから、″あの朝美がフラれた″ って凄い噂になって、その男の子、転校しちゃうくらい学年中の男子にいじめられたし、私も皆に口きいてもらえなくなった……」
「その状態がずっと……?」
地獄だな、と思いながら尋ねたら、それはなかったという。
「二年になったら、シカトはなくなったけど、元いたグループには入れなかった。それでも、友達はできたし、高校までは平穏に過ごせたんだよね」
悠里が泣きそうな笑顔を作る。
「同じ高校になるなんて思わなかった。朝美は私立高校に行くって聞いてたのに」
「高校で何かあったの?」
悠里が朝美にいじめられてる、とか。そんなの今まで聞いたことなかった。
俯きがちな悠里の顔を覗きこむと、大きな目からポロッと滴が落ちた。
「……何もないよ。過去、何もなかったかのように、同中ってだけでライングループに入ってるし、インスタもツイッターもお互いフォローしてる……」
「じゃあ、なんで……」
「私にだけ、なんにも反応ないのよ」
「え……」
一瞬、何のことかと思った。
「私の投稿にだけ、あの子、ノーリアクションなの」
「あ、あぁ――……」
そういうことか――。
悠里が眉間に皺を寄せて、とても悔しそうに言うから、本人にとっては大きな問題なんだろう。
「名前しか知らないような同級生にもイイネ押したりしてるのに、私だけは徹底無視。ひどくない?」
「……う、うん」
良かった、私、SNSやってなくて。
存在感薄い私なんて、スルーは当たり前になってたかもしれない。
「表向き、私とも仲悪く見せないようにしてるけど、根っこは中学のことずっと引きずってるのよ、……私のこと許してないの」
悲し気だった悠里の顔がだんだん、険しくなってきた。
許してないって、なんだかへん。
彼女の話を聞けば、悠里は中学の時は、むしろ被害者でしかないと思う。
それでも、高校生になってからは、呪いかけるほどの問題は起きていない気がした。
「近頃は、当てつけみたいに私の好きな人にちょっかい出すようになってた……」
“恋愛”。
やっぱり、一番のもつれは、これだった。
掛け布団を握りしめる悠里の手は、怒りで震えている。




