表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
一 遮断と結界
3/225

一 つかれている 2

  薄暗い廊下に人の気配。こっちにもびっくりして、「ひっ……!」と短い声を上げる。


「なんでそんなに震えてるんだ?」


話しかけてきたのは、よく見たら部の先輩だった。

 三年生の橋本千尋はしもとちひろ先輩――

 イケメンだけど、クールを通り越して冷酷な人かと思うほど無口な……。


「あ、あの、橋本先輩も聞きませんでした? そ、そこ、宴会場から悲鳴……」


 まだ腰を抜かさないだけマシだったが、震えて歯はガチガチだった。


「……いや」


 橋本先輩は表情を変えないまま、私の横を通り過ぎ、廊下の突き当りにあるトイレへと向かって行った。


『え? あの騒ぎが聞こえなかった? 嘘でしょ?』


 振り返り、宴会場の方に耳を澄ます。

 あれほど騒がしかった部屋からは物音一つせずに、不気味な静けさだけが漂っていた。


『え……空耳だった?』


 しかし、先ほど凹んだ襖はちゃんと証拠を残している。


『まさか、皆、同時に寝た? 旅館側から注意されて?』


 ――それとも、皆殺しに遭った?


 考えただけでもゾクっと背筋が凍ったが、どうしても、その宴会の間を開ける勇気は湧かなかった。逃げるようにトイレへ駆け込み、用を足した。

 トイレには橋本先輩はもういなかったようだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ