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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
エピローグ
220/225

新世界 2

 今回は前世での記憶が強く残っているせいか、子供ながらに何かがおかしいと思っていた。

 大人の誰も何も言わないけれど。

 2022年 から2025年まで起こったパンデミックの時に推奨された予防薬が原因で少子化が加速されたのではないかと、俺は思っている。


 ――トランスヒューマニズム。


 機械と人体の融合が急ピッチで進んでいた。


 不死を手に入れる為に、脳以外の身体をバイオテクノロジーで作った人工のモノに変えていくサイボーグシステム。


 脳のデータを超高性能のコンピューターにアップロードするエミュレーションシステム。


 その最新のテクノロジーの二択を迫られた中高年の大人達は、なぜかそれをすんなりと受け入れていた。

 これも俺が勝手に思っていることだけれど。

 彼らの体内には何らかの形でチップが入っているのではないか。

 国による完全管理システムの世界で、思考までも管理され、書き換えられている。

 そんな気がしてならなかった。


 2060年。

 俺は、また十八歳になる。


 既に義務教育の段階で、子供は将来進む道を国(世界政府)によって決められ、俺達に選択肢はなかった。

 あらゆる仕事にAI導入が進み、義務教育を終えた段階で国が決めた進路に進む。

 AI導入が進んでもなお、人間の方が優れた仕事をすると言われているのは以下の職種だけ。

 営業職。データサイエンティスト。介護職。

 カウンセラー。コンサルタント。


 人には見えないものが幼い頃から見え、第六感の発達を認められていた俺は、強制的にカウンセラーの仕事に就かされる。

 どんなに機械と人体が融合しても、人の魂はさ迷い、時に霊体となって生きている人間に影響を及ぼす。

 それが何なのか、原因がわからないまま不調を訴える人は今の時代にもいた。

 俺は、極力、現実的な言葉、解決法でその悩みを取り払うアドバイスをする。


 神。

 悪魔。

 霊。

 魔術や呪文。

 祓い、供養。


 こういった言語は新世界ではタブーとなっている。


 俺自身、前世の″陰陽師″ の記憶は戻ってきてはいるものの、今の時代にそれを口にする者はいなかった。


  人口減少。

 AIが世の中を支配する世界。

 昔はSF映画の中にしか存在しなかった景色が、今、普通にある。


「いらっしゃいませ。ご注文が決まりましたら、該当メニューのアイコンを押してマイナンバーカードをQRコードにかざしてご精算ください」


 駅にあるカフェに入れば、一見、人間と同じ容姿をしたAIロボが接客をする。

 彼らは、機械的な言葉を発するだけでなく、誰かの脳のデータをそのまま機械にインストールしているため、人間っぽい会話ができる。


「村山さん。いつも仕事帰りにご来店ありがとうございます。お仕事はご盛況ですか?」



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