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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
八 サヨナラ fourth
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悪と悪42

 一年ぶりに見た堀先輩は、高校の時よりも更にチャラい風貌に変わっていたけれど、顔は引き締まって、″大人の男性″になったなという印象だ。


「今日、お前の友達の加奈ちゃんに会って、ここで働き出したって聞いたから顔を見に来た。てか、珈琲飲みたいんだけど」


 堀先輩と加奈は同じ大学。


「そうですか、じゃあ、今、空いてるんで中にどうぞ」


「ん」


 用があるならラインや電話で済むはずなのに。

 こうやって直接会いに来るってことは……。

 私は、カウンターの卓上カレンダーを見て、刹那、目を閉じてから堀先輩の注文を訊いた。

 カフェラテを頼んだ堀先輩は、お金を払って店内をキョロキョロ見回す。


「ここ、男っ気ない店だよなぁ」


「店長は男ですよ」


「いや、それは対象外だろ」


 奥で豆の準備をしていた店長がジロリと此方を見た。


「何の対象……?」


「恋愛の」


「お待たせしました」


 おかしな事をいう先輩に、ドン!とちょっと不機嫌な顔をしてカフェラテを差し出す。

 内心はそんなに怒ってはいない。

 次に出る言葉がわかってるから、あえてそんな顔をした。


「……もう、一年じゃん。山城も新しい恋してもいいんじゃね?」


 ――ほら。


 受け取りながら、元々垂れぎみの目に哀愁まで漂わせて、堀先輩が私を心配そうに見る。


「まだ、一年です」


 私は瞼を下ろし、一年前に見た橋本先輩の遺影を思い出した。


 およそ一年前。

 橋本先輩は、地方にある国立大学の生物工学科に合格した。

 地方といっても東京から車で一時間弱、電車で五十分という距離だったのだが、その通学時間がもったいないと、寮に引っ越すことにしていた。


 他の先輩は、殆どが都内に進学していたのに、よりによって好きな人が引っ越してしまう。


 聞いた時、とても寂しくなったのを覚えてる。








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