ひと を 呪わば穴ふたつ 11
部活休みのため、俺たち三人しかいない射場で、インスタの写真を霊視。
「長野朝美は、この生霊を飛ばしている奴から呪いまでかけられている」
頼まれたからやったのに、堀と山城は顔を見合わせて、失礼な表情を浮かべていた。
「《《呪い》》……?」
「……今時、そんなの信じてやる人いるわけ?」
――こいつら。
霊は信じてるのに、呪いはあり得ないと思ってるようだ。
「ネット通販でも″呪いキット″なんてものも売ってある時代だし、呪い代行業者というのもあるし。それだけ需要があるってこと」
「 それ、見たことあるかも。呪いの人形とかお土産感覚で載ってました」
山城がさも恐しいといったふうに、首を横にふる。
「その呪いも、お前、解くことできるのか?」
堀の問いにはハッキリと答えられない。
まだ、現世ではやったことがないから。
「じゃあ、この鏡に写ってるのは、誰かわかったんですか?」
それには、「ああ」と答えた。
「近くにいる人です?」
「……君の知ってる人だよ」
山城の小動物みたいな目が動揺に揺れる。
「知っている人……?」
俺が、弓道部二年の井川悠里だと告げると、
「はぁぁ!?」
と、耳をつんざくような大声を出したのは堀だった。
「それは違うだろ? だって、アイツだって体調崩して部活休んでるだぜ?」
「……そうです、やる気がでないって具合悪そうにしてて、学校も来てないし」
山城の声は震えていた。
「生霊を飛ばしてる人間もまたダメージが大きいんだ。これ以上続けたら、井川悠里も危ない」
それに、呪いは呪詛返しといって、呪いをかけられた方の守護霊が強い場合、かけた方に返ってくることもある。
「そ、それがほんとうなら、早くこの写真祓ってやれよ! まず生霊退散させてさ」
堀が自分のスマホをおぞましそうに見る。
生霊となる人間が陰気でいかにも人を呪いそうなキャラクターだとは限らない。
イメージが覆ると、余計に恐怖心は増す。
黙って聞いていた山城の顔は青白かった。
「このネットの写真をどうにかしたって変わらない。何千人て人がこれ、見てるんだろ」
関係のない人間は、ただスマホから削除するだけで邪なものは消える。
問題は、生霊を飛ばされてる側だった。




