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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
八 サヨナラ fourth
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悪と悪 23

 その後、ヘリからの動画配信は急遽中断された。

 理由はわからない。

 視聴者が見た、ヘリに乗った秘密組織のメンバーが、本当に某国王族の者なら、一大事だ。

 触れてはいけないタブー。

 滋岡も、議員も、俺達も、動画を見ていた視聴者も何らかの危険がおよぶ可能性があるかもしれない。

 赤い蛇のマークをつけた2機のヘリは、北の空へと消えて行った。


「とりあえず、船内の安全を確認してから子供たち船に乗せよう」


 随分と薄暗くなった空を見て、シート無しでもイケると判断した舘さんが、足を引きずりながら【らせんまる】に乗り込んでいた。

 まだ眠っていた船員以外、密航船の中国人や連中の仲間はいなかったと、安堵したように俺達に報告してくれた。


 トラックの荷台と、施設の地下から子供たちが船員に救い出される様子は、自分達でも撮影した。

 滋岡の乗ったヘリは、【らせんまる】が島から離岸するまでずっと上空にいた。


 ――無人島での戦いがようやく、終わる。


 これだけ沢山の子供達が無人島から救出されたとあって、警察や政府も放任するわけにもいかず、最寄りの港から子供達を病院に搬送する手配をしてくれた。

 行方不明の届け出のある子供との照合もあり、暫くは大変だろう。


「これが表沙汰になるかは分からんけどな」


 子供達が港から護送用のバスに乗せられていくのを見送りながら、舘さんがポツリと言った。


「ならない、でしょうね」


 年間で行方不明になって人数からすれば、こんな発見は氷山の一角だろうし、うやむやにするのは奴等の常套手段だ。


「……比良が、死ななかったらもっと色んな証言できたかもしれないのに」


 子供達とは別に、救急車で運ばれて行った比良が、車内で息を引き取ったことを、俺は、連絡前に感じ取って知った。


 なぜなら、奴の魂が、今、俺のそばにいる。


「……それも分からん。連中は施設に残っていたシェフも使用人も殺して去って行ってたからな。どんな形でも息の根を止めただろう」


「堀は、大丈夫かな。彼こそ狙われないでしょうか?」


 拉致され、連中に監禁され届け出も出されていた。

 なので、いま、近くの警察署で保護者を待っている。


「彼が目にしたメンバーは皆、息絶えたからな。子供達も同じ。逃げた上層部の奴の顔は見てないはずだから大丈夫じゃないか」


 危ないのは、滋岡だと舘さんは付け加えた。


「さて、お前達を東京まで送ったら、俺は、また山籠りの生活に戻るかな」








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