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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
二 渦
18/225

ひと を 呪わば穴ふたつ 8

 * * *


 堀 賢吾が山城に見せていたインスタの写真には、確かに心霊が写り込んでいた。


 それも、タチの悪い《《生き霊》》だ。

 長野朝美という女子生徒の投稿に悪質なコメントを残していたユーザーの一人だと見られる。


 俺は、父の安倍晴明みたいな占術は持ってないけど、ちゃんと霊視さえすれば、鏡に映った生き霊を飛ばした人物も特定できたかもしれない。


 しかし、あんまり目立つことをやって人の噂とかにはなりたくなかった。


 それに、SNSでの発信で自分の存在をアピールする顕示欲の強い人間を、心のどこかで軽蔑しているところもあった。

 インスタは、ルックスが良ければ良いほど、お洒落であればあるほど、イイネやフォロワーが増える傾向にある。

 裏を返せば、そうでない人間から妬まれることもあるということ。


 なにせ、現世での若い連中はイイネの数を競う、つまらない評価社会で生きているのだから。

 故にネットという海に、情報という名の意識やエネルギーが邪念で嫉妬や恨みに変わって飛ばされる。しかも、膨大に、広範囲に。


 それをどうにかするなんて、俺には無理だ。



 そもそも今の時代は情報が行き交い過ぎて何が真実かは分からない。


 インフルエンサーと呼ばれる人間も、己の発言に責任を持って発信してる者は少ない。

 それでも、皆、言葉を待っている。

 誰かが導いてくれると、救ってくれると思っている。


 かの時代も、民も、貴族も、天皇でさえ、神の代わりにと、巫女や陰陽師の助言を欲しがった。

 それもそのはず。

 平安時代は、平安という言葉とは裏腹に迷信が支配した闇の時代だったからだ。


 遺体の処理にしても現代とは異なり、そのまま川に流したり、一か所に集められて放置されるため、疫病が流行ってしまえば死は広がり、たちまち死体だらけとなった。

 おまけに、いつ、干ばつや飢饉が起こって餓死するかわからない。

 故に、この時代では、人の運命など目に見えない《《なにか》》に操られていると考えられるようになった。


 やがて、疫病の大流行などは怨霊や悪霊の祟りであり、奇怪な自然現象は、物の怪などが起こす仕業であると信じられるようになっていった。


 

 ――陰陽師の存在が、必要不可欠となって当然の時代だった。





 







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