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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
八 サヨナラ fourth
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悪と悪 5

 堀は話さなくとも毎日、顔をつき合わせていたからわかるんだろう。


「トイレじゃないのか」


 原田がトイレらしきドアを開けるも、悪臭が放たれただけで中は誰もいない。


「……アレスタに連れていかれた」


 床に寝そべったまま飴をしゃぶる男の子がボソッと言った。


「アレスタ?」


【エデンの勇者】の?


「あいつ、地下に降りてきたの?」


「うん、コスギもいた」


「わかったぞ! 撮影だ!」


 堀が大きな声を出し、鼻息荒く言った。


「そうか、ここ、プロモ撮影用の部屋あったよな」


 ――すなわち、拷問部屋。


「また、拷問シーンを使ったプロモ作るのかな」


 思い出したのか、山城が吐きそうな顔をしている。


 《そこ、一人魔術師がいるわよ》


 紫音さんの知らせに、舘さんが反応した。


「魔術師? 撮影に必要か?」


 《彼らにとっては撮影も儀式の口実なのよ。ま、それぞれ目的が違う人間がいるわね。一人、英国人がいるでしょ? 彼は単に日本人をいたぶるのが好きみたいね》


 癖のある者ばかりの集いだから、気を付けて、特に前世巫女のお嬢さん、との忠告を最後に通信が途切れた。


「ここ、電波悪いみたいだな」


 スマホも通じない、閉ざされた地下通路を少し歩くと、灯りが漏れた部屋を見つけた。

 ドアの鍵はかかってない。

 舘さんがそっとノブを回すと、多数の照明器具のせいで、一瞬、視界がくらんだ。

 数台のカメラが回され、ちゃんとカメラマンもいる。

 ピンクのポロシャツのコスギが、こちらに背を向けてパイプ椅子に座っていた。

 ちょうど、アレスタとメンバーが血糊をつけて音楽に合わせて踊っているところだった。


「消えた子どもはいるか?」


 舘さんが堀にポツリと尋ねると、「はい」と、頷いていた。

 俺も隙間から覗き見る。


 ――あれか。


 スタジオの奥に、病院にあるようなベッドに寝かされている男の子を見つけた。


「どうしますか?」


 俺は、険しい顔をした舘さんを見た。


「……あの男の子は手錠がかけられてるな」


「あぁ、そうですね」


 俺や山城、堀の拘束はロープだったが、PVとなると、より()()()を出す為なんだろう。


「鍵付きの本格的な奴だろうか?」「どうでしょう。ただの撮影用なら必要ないのかもしれないけど」


 ――撮影は口実だから。


「紫音に誰が鍵を持ってるか訊いておけばよかったな」


「あ、……アレスタが、包丁を持ち出しました」


 山城の震えた声が、俺達の間に緊張を走らせる。


「なんか、男の子の足を切ろうとしてないか!?」


 原田がやや大きな声を出してしまう。


「お嬢ちゃん、ここで弓矢の出番だ」


 舘さんに促され、山城が仕舞っていた弓と矢を取り出した。


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