表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
七 サヨナラ third
169/225

救いと導き 34

 竹森浩介の仲間達は、一目散に更衣室から出ていった。


 俺は、山城と子供達を抱えて、まだ恐怖に固まっている堀に声をかけた。


「俺達もここを出るぞ。この怨霊と目を合わせたら最後だ。それこそ末代先まで祟られる」


「……え」


 堀がブルッと身震いして、俺の背後にくっついた。


「お、怨霊なら千尋が祓えんだろ?」


「俺には出来ないし、怨霊なんて優秀な霊能力者だって簡単には祓えない。逆に呪い殺される可能性もあるから嫌がるんだよ」


 とりあえず更衣室を出て、念のため結界を張る。

 ああいう怨霊が、この島のあちこちにいるのかもしれない。

 だから専属の呪術師を雇ってそばに置いてるんじゃなかろうか。


「しまった」


 更衣室を出て、直ぐに後悔した。


「なに、どうしたんだよ?」


「竹森浩介のスマホ、奪っておけば良かった」


 そしたら、外と連絡取れたのに。


「なら、戻るか?」


 言葉とは裏腹に堀の体は別の部屋に向いている。


「いや。せっかく、結界を張ったしな……もうしばらくここで船を待ってよう」


「……でも、船来るまでの間にルーメンのメンバーに見つかりませんかね?」


 山城が俺の腕の中で呟いた。

 この時、まだ彼女を抱き締めたことに気が付き、慌てて離れる。


「確かに銃声、響いただろうからな」


「お腹すいた……」


 急に連れてきた子供達が、声を出した。


「そうだよな、腹減ったよな。ここは食堂みたいなのないのか? 厨房になら何かあるだろう」


 竹森浩介たちだけなら、父親から送られてくる保存食でも間に合うだろうが、海外の上級メンバーが泊まるのなら、そういうわけにもいかないだろうし。

 間取り図を描いた子供が、「あるよ」と、二階を指差した。行ったことはないが、大人達が二階のレストランで有名な誰々と飯食っただとか、話していたのを聞いたのだと。


「二階かぁ……ハードルたけーな」


 堀が腕組をして、フロアーの天井を睨む。


「でも、橋本先輩の手当てもしないと、まずいでしょ」


 山城が俺の肩の傷を心配そうに見た。


「俺なら大丈夫」


 出血多量で死ぬのなら、まだ覚悟ができる。


「早く【らせんまる】こないかな」


 空腹の子供達を囲ったままフロアの窓から外を見ていると、エレベーターが下りてくる音が聞こえた。


 二階から誰か降りてきた!

 このフロアで入れるところはレッスン室と更衣室しかない。俺達は結界から出て、レッスン室に戻る。隣に女の子と竹森の遺体があると思うと落ち着かなかったが、やむを得ない。

 レッスン室の窓から、そっとエレベーターから降りてきた人物を確認すると、見たことある男だった。


「あ、あれ、【エデンの勇者】のアレスタじゃん」


 堀が小声ながら興奮気味に言った。


「やっぱりそうですよね、ボーカルの」


「……」


 竹森浩介の画像で霊視した際に視えたファン殺害の共謀者。

 イギリス人で品のある端正な顔立ちが人気のアーティストだ。

 生で見ると、ただならないオーラを感じた。


「アレスタって、噂じゃ王族の遠い親戚らしいよ、あくまで見た目貴公子からきた噂だけどな」


 堀の言ったことは、まんざら嘘でもないだろうと思った。

 大昔から、西洋の貴族や王室の一部は(もしかしたらアジア圏内も)隠れサタニストであることが多いとされている。








 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ