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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
七 サヨナラ third
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救いと導き 15

 そうかもしれない、と思った。


「電磁波の影響もあると思います。ずっと頭痛がすると言ってたので」


 そんな状況じゃ、誰かの思惑を読み取ったりは難しいはず。


「電磁波って、低周波か。あれも強いやつなら頭痛、耳鳴り、発熱、痺れ、むくみ、めまいも引き起こすと言われてるからな。しかし、それこそ奴の行動範囲を把握してる身内じゃないと攻撃できんだろう。隣の部屋や隣家くらいの距離で」


「……そうですよね」


「電波法管轄のの総務省も、エレクトロニックハラスメントに関しては無力だからな。この手の犯罪は増えていくさ」


 社会から隔離された所にいたという癖に、俺が知らないことも次々に話し出す。

 陰陽師にしても霊能力者にしても不思議な人が多い。


「見ろ、早速ワイドショーでインチキ陰陽師の滋岡道中がYouTubeで醜態を晒したと報道されてる。これが奴等の目的だろうからな」


 俺は顔を上げて小さなテレビを見た。

 今朝の生配信中の、意味不明な事を言ってるところや、リバースしたところだけを切り抜き報道し、謎の白浜や、精神から迷いを消し、邪破法をキメたところは一切流さない。


「″うわ、ひどい酔っぱらいですねぇ″」


「″何がしたいんでしょ、この人は″」


 コメンテーターたちが嘲笑う。

 原田が言っていた ″テレビしか見ないバカ″ には、これが真実として捉えられるのだろう。




 この【らせんまる】が調査海域で作業するのは明日の朝らしく、今日は見学客を乗せるためにあと2つの港に寄ると、船長が言っていた。


 金沢港に着き、離港まで二十分の間、船のトイレは嫌だとターミナルに降りていく子供達もいた。

 売店で竹輪を買う舘さんから少し離れて、駐車場に入ってくる車を見守る。


 ――きた。

 

 見覚えのある車に近付いていく。

 運転席に、紫音さんの娘(付き人)、助手席にはウトウトしかけている紫音さんがいた。


「なぜきた?!」

 と、後部座席の山城と原田に向かって声を張ると、ゆっくり開いた窓から、山城が上目遣いで俺を見た。


「先輩こそ丸腰で何ができるつもりですか?」


「は?」


 山城は運転席と助手席の間から、後ろの荷台まで伸びた2㍍ほどの筒状の荷物を持って外へ降りてきた。


「まさか……」


「弓道部の弓と矢です。いざという時はこれで敵をやっちゃいましょ」


「やっちゃいましょ……って、そもそも矢は人に向けて放っちゃいけないんだ」

 

 俺は、逞しい顔をした山城を前に、子供騙しのような言葉しか返せなかった。

 

「何言ってんだよ、橋本くん。その島、無法地帯なんだろ? 悪魔の手先みたいな奴ばっかなんだろ? 」


 続けて原田がピストルの形したスタンガンらしきものを手にし、カッコつけて降りてきた。

 

「……それ違法だろ?」


 現実、犯罪にしか使われない。

 俺の反応に呆れた様子で笑う原田は、俺にも何やら物騒な物を持たせた。


「護身用なんてアキバでもネットでも買えるっつーの。ほら、橋本くん用のも買ってきたから。俺のより小さいし威力ないしダサいけど」


 呪術だけじゃ間に合わないから、と。

 ずっと船に乗る事を考えてた俺より、まともに護身を考える二人がとても頼れる人間に見えてきた。


「先輩、あそこで竹輪頬張ってるデカイ人が陰陽師なんですか?」


 山城が指す方を見ると、舘さんがモゴモゴと口を動かしながら、こちらを眺めていた。








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