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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
七 サヨナラ third
147/225

救いと導き 12

【破邪の法】とは、陰陽師の基本中の基本で退魔を目的としたもの。

 刀(右手の中指と人差し指を伸ばし親指でほかの指の爪を隠す)で呪文を唱えながら、九字を切り左手の鞘に収め九字を切る方法。

 


「そんなもので、体内に入った毒をどうにかできるわけありませんよ! 呪いをかけられたわけじゃないんだから」


 何でもかんでも呪解すればいいってもんじゃない。


 《今さらそんなもんで解ける呪いじゃないさ……俺だって色々試した……》


 滋岡も虚ろながらその案を拒む。


「毒殺だって、お前を殺したいという明確な殺意のもと企んでるんだ。そもそも邪破の法は、そこらの人間がやったって効果はない。徳を積んだもの、すなわち魂の位が高くなければ効かない」


 徳を積んだもの……。


「社会から隔離された所で修行した者だ」


 舘さんが自分を指す。


「じゃあ、滋岡さんは……」


「奴は、元々魂の位は高いだろう。本人と陰陽師二人が一緒にやれば何かしら効果があるかもしれない」


 俺を見た舘さんが、サングラスの奥で目を細めた。


 ″陰陽師、二人″ ――。

 この人は、俺をそうだと認めてる?


「滋岡、やれ。俺達もやる」


 《……良くわからないけど、わかったよ。やるよ》


 ふらつきながらも、呼吸を置いて滋岡が生で刀印を結び始めると、コメントが湧いた。


【リアル九字切?!】


【説明してー、何が起きたんだ!?】


 舘さんと俺もタブレットと前に、電話を繋げたまま同じく刀印を結ぶ。

 隣の舘さんの身体から、今まで感じたことのない大きな圧を感じる。

 これが本物の″氣″ だ。


 三人同時に唱え、九字を切った。


「青龍・白虎・朱雀・玄武・勾陳・帝台・文王・三台・玉女」


 まばらだが、駐車場には人がいるのに。

 雑音からは遮断され、さざ波のような音が心地よく流れてくる。

 おそらく普通の人では感じないであろう、強い波動。

 動画中、滋岡も右手の刀を左手の鞘に納めた時は、さきほどまでの混迷した雰囲気を打ち消し、いつもの滋岡道中に戻っていた。


【いま、滋岡さんのまわりに白い光が見えたの私だけですか?】


【なんか、画面、揺れたね】


【滋岡さん、かっこいいです】


 早速、チャットの欄も感受性の豊かな視聴者からコメントが寄せられていた。


「……上手く、いったでしょうか?」


「どうかな。奴の動きを追ってみろ」


 舘さんが言うように、タブレットの画面を見る。

 滋岡は、突如、口元を押さえて立ち上がり、カメラから遠ざかったため、今まで映されなかった彼の周りの風景が見れた。

 白い砂浜が見えた。

 画面に背中を向け、端の方へ走って行くと、急にひざまずき、


「…ぐ…う、ぉぇ……」


 あろうことか、リバースしてしまったようだ。







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