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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
七 サヨナラ third
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救いと導き 11

「扉……? 扉って?」


 パンドラの箱みたいな話かと思ったら、


 《KIDSパークの地下通路の入口だよ》


「あぁ!」


 生配信で見た、前で霊がウヨウヨさ迷っていた、重そうな鉄製のドアのことだった。


「どうやって……そして、それはどこに繋がるんですか?」


 《元従業員が鍵を持っていて、貸してくれた。ずっと子供達の行方が気になっていたんだと……。で、入って歩いて行ったら…あの世とこの世の境目みたいな所を抜けて出たんだ》


 あの世とこの世の境目……。

 それって死んだ人に会える京都の戻り橋みたいなところだろうか?


「地獄……のような所に出ました?」


 地下の想像がつかない。地下鉄より狭いのか。暗いのか。


 《いいや……》


 と、溜息のような声を出した滋岡は、次に溶けそうな声で言った。


 《まさにパラダイスみたいな、……キラキラした所に出た》


 滋岡は、夢現な状態を疑うほど、いつもと様子が違っていた。


「滋岡さん、キラキラって何ですか? どこで何を見てるんです?」


 地下通路を通って、それこそ地図に載っていないような場所へ出たなら、ぜひ動画の生配信をしてほしいのに。いつもの彼なら、それくらいするはずなのに、


「滋岡さん、聞いてま……」「代われ」


 いつの間にか戻ってきてた舘さんが、俺からスマホを取り上げて尋ねた。


「滋岡、酒を飲んでるのか? お前は飲めない体質だったよな?」


 え?

 そうなの?

 彼のこと詐欺師とか言ってる癖に、そんなこと知ってる仲なのか?


 《……飲んでない、はず、だけど気分いい……いや、悪いな……まるで酔ってるみたいだ》


 電話で滋岡の声を聞きながら、車のタブレットを取り出し、ネットの動画配信を確認する。


「いきなり、奴のチャンネルで生配信が始まった。こんな醜態を視聴者に見せるなんて、本人の意思ではないだろう」


「どういうことですか?」


「薬……もしくは、ポロニウムを盛られたかもしれん。内輪に裏切り者がいる」



 ポロニウム……?

 なんだ、それは。


「なんですか、それ、酔っ払ったみたいな感じになるんですか?」


「俺も飲んだことないからわからん。でも、海外ではスパイ工作員や邪魔な政治家を暗殺する常套手段だ。体内被爆を起こし、飲んでからじわじわと体調を崩す。意識が朦朧とし風邪のような症状から始まって、数日後、急変して死ぬらしい」


「えー!?」


 俺は、舘さんのタブレットを食い入るように見た。

 急に始まった滋岡道中の生配信に、視聴者が驚いている。


【えw 予告なしで何が始まるの?】


【滋岡さん、ふらついてませんか?】


【それ、どこ?】


 顔色が赤黒く変色し、虚ろな目をした滋岡は、スマホを片手にネットを通して異様な雰囲気を醸し出す。

 カメラアングル!

 そのドアップのせいで肝心な背景は見えない。


「滋岡、スタッフに言って配信やめさせろ」


 《いや、せっかくだから、ね? この白い日本の天国みたいな景色、見せないと》


 だから、映ってないって。


「滋岡さん!病院行って!」


 スマホから叫ぶ。


「もし、ポロニウムなら解毒剤はない」


 非情にも見えた舘さんが、突如、タブレットを前に置き、電話の滋岡に指示をした。


「今すぐ自身で破邪の法を切れ」










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