表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
七 サヨナラ third
145/225

救いと導き 10

 「見ろ、俺らが乗る予定だった新幹線、脱線事故を起こしてる」


 目を覚ました途端、舘さんがスマホのネットニュースを俺に見せて驚かせる。


「……え、」


 まさか。これ、予測してた?


「撤去作業に六時間だと」

 

 舘さんは、スマホを仕舞うと、既に満車になるつつある港の駐車場に車を停めて海の方を見た。


 俺も眠たい目を擦りながら、客船フェリーの後ろについている【らせんまる】を眺めた。

 あれが、行くのか。

 悪魔の巣へ。


「船員に話をつけてくるから、ここで待ってろ」


 頼もしい一言を残して港に歩いていく舘さんを見ていると、ナップサックのスマホが鳴っているのに気がついた。


「着信がいっぱい……」


 今朝、母さんと父さんから。

 そして、原田くんと、山城からも。


 不在着信あとの怒濤のメール。


【こんな朝早くから、どこに行ったの? 今日は終業式でしょ? 他に何かあるの?!】


【千尋が家出したって母さんが心配してるぞ!】

 

 原田くんからは、


【例の参議院議員がヘリコプターで今日にでも視察するって!それ、滋岡の動画で配信できたらいいんだけど!って!凄くない?】

 

 警察も当てにならない中で、視聴者が認識してくれたら、それだけでパワーになるなと思った。


 ついさっきの電話は、山城からだったらしい。


【橋本先輩は、秘密主義過ぎます。さっき、紫音さんに連絡取って、先輩が乗る船の寄港予定教えて貰いました】


 なに。

 俺は、さっと血の気が引いていくのがわかった。


 この船。

 沖に出てからも、また、どこかに寄るのか。

 そこに、山城は来るつもりなのか?

 やめてくれ。


【来るな。お前は終業式終わったら大人しくしてろ。もしくは滋岡からの動画配信を原田くんたちと待ってろ】


 自分でも驚くくらいのスピードでメッセージを打って送信。

 それは直ぐに既読になったものの、


【いやです】

 

 アッカンベーをした豚のスタンプが送られてきた。


「……こいつ……」

 

 電話で説き伏せようとしたら、ブルブル!と手のひらでスマホが揺れた。

 もしや、母さんか? と、一瞬、気を引き締めたら、それは滋岡からだった。

 きっと大事な要件に違いない。

 俺は一度唾を飲んで電話を取った。


「もしもし……おはようございます」


 《おはよう……》


 聴こえてきた声は、やはり、まだどこか痛そうだった。


 《……橋本くん。俺は扉を開けてしまったよ》





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ