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転生陰陽師は呪詛をしたくない【仮】  作者: こうつきみあ(光月 海愛)
七 サヨナラ third
143/225

救いと導き 8

 真夜中。

 タイヤに空気を十分に入れてから、自転車を走らせる。

 待ち合わせの駅に向かおうとしたら、例の陰陽師から電話が掛かってきた。


【本物陰陽師】


 名前は教えてくれないから、こんな登録。

 修行をした時からコードネームで呼ばれ、戸籍も名前も捨てたと言うので、仮に、《舘さん》と呼ぶことにした。

 単に見た目が若いときの舘ひろしに似ているから。


 《敦賀港まで新幹線で行く予定だったが、急遽車で行くことにする》


 何故か、時間がかかる方を選択した舘さんには、陰陽道的に何か見えているものがあるのだろうか?


 東京駅まで頑張って漕ごうと思ってたから、拍子抜けしたが、まだ足が痛いのもあり近くまで車で迎えに来てもらうことになった。


「凄いな、ママチャリで二時間も三時間も漕ぐつもりだったのか?」


 俺を見つけた舘さんが、運転席から面白そうに自転車を見た。


「これ、クロスバイクです。マウンテンとロードの中間」


「折り畳めるなら後ろに乗せておけ。今からほぼ寄り道なしで五時間走る。トイレ行くなら済ませておけ。空腹ならなんか食べろ」


 舘さんが数メートル先のコンビニを顎で指した。


「……大丈夫です」


 小さく首を振る。こんな時間に腹など減らない。

 というか、緊張して何も喉を通らない。


 俺を乗せたあと、舘さんは無言で車を走らせた。

 あまりにも気詰まりなので、こっちから話し掛けた。


「なんで、協力してくれる気になったんですか?」


 財団の船のことを調べろと教えてくれた時点で、鉄のようなイメージは崩れたものの、やはり腑に落ちない。

 雇われた陰陽師が無償で主人を裏切るなんて。


「別に裏切ったつもりはない。俺は、常に竹森に忠実だ」


 見えづらくないのか。

 舘さんは、夜なのにサングラスをしたまま運転をしている。


「じゃあ、調査船に乗せてくれる話も、竹森さんが手配を?」


「あの人は何も言わない。口に出しては、な。でも目がそう言っていた。俺は、それを汲み取った。紫音に頼まれたのもあり、子守りがてら船に乗り込むことに決めた」


 子守り……。

 淡々と話す舘さんの声には、もはや人間の情緒など感じない。

 何だか昔、テレビで見たターミネーターといる気分だ。


「竹森さんは、やっぱり神への信仰が深い人なんでしょうね。だから息子の悪魔的な行為をやめさせたかったんですよね」


 俺は、何の疑問も抱かず言ったのに、舘さんは鼻で笑っていた。


「君も、陰陽道や神道は神聖だと思ってるクチか」


「……どういう意味ですか?」



 陰陽道が、善の行いだとは思っていない。

 むしろ、神など信仰してないから人が忌み嫌う呪術を行うことができ、貴族や天皇に重宝がられてその地位を確立していったのだから。

 その陰陽道と神道が一括りされてしまった歴史は知っている。

 でも、この舘さんが、神をも冒涜する理由はわからない。


「これを言うと話がややこしくなるが、陰陽道も神道も、もとは悪魔崇拝の宗教と同じだとする説があるし、俺もそれを信じている」


「え、何言ってるんですか?」


 暗闇の中、俺は目を見開いた。

 それって、前に原田が言ってたことと関係してるのか?


『歴史は改竄される。安倍晴明の五芒星が魔除けで蘆屋堂満や滋岡川仁の六芒星が悪魔の象徴なんて嘘で、後から出来た歴史だって知ってた?』











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