ひとを呪わば穴ふたつ 4
とっくに五月ではないけれど、五月病みたいなのが流行ってる?
クラスの朝美は、とうとう学校に来なくなってしまった。
加奈が言うには、SNSでの誹謗中傷は、更新を停止しても相変わらずあるという。
「一体、どこのどいつだ!俺の麻美を傷付けるやつは!」
と、一人勝手に憤慨してるのは、弓道部三年生の掘先輩だった。
部活終わりに、彼の方から訊かれたのだ。
″長野朝美ちゃん、最近、休んでるんだって?″
と。
掘先輩は、麻美の隠れファンだったとらしい。(彼のキャラ上、全然隠れてはなかったのだけど)
「あいつもどうした? 悠里。最近、おかしいだろ?」
「……はい。部活、今日、休んでました」
「なんだなんだ、可愛い子は鬱になる祟りでもあんのか? うちの学校は!」
大袈裟に頭を抱える堀先輩は、結構、失礼。
「悪かったですね、可愛くなくて」
むくれていると、並んで歩く私達のそばを、自転車が勢いよく通り過ぎて行った。
「あ、千尋!」
まだ胴着の私達とは違い、橋本先輩は既に制服に着替えて自転車で帰ろうとしていた。
「ちょ、ちょい待て! 訊きたいことがある!」
それを堀先輩が、咄嗟に荷台に手をかけて止めた。
危ない!
キキー!と耳が痛くなるようなブレーキ音が中庭に響く。
「危ないだろ。いきなり自転車掴むなよ」
ほら。
橋本先輩の冷淡な顔がますます冷ややかになった。
「お前、お化け見えるよな?」
堀先輩、直球過ぎて子供の発言みたいになってる。
「……見えないけど。なんだよ?」
それに答えてあげる橋本先輩、顔つきは怖いけど、ほんとうは優しいんだろうな、と思った。
「な、な!俺に、副顧問の生き霊とか憑いてね?」
言ってる堀先輩の背後から、本物の副顧問の先生が歩いて来てたから、私も橋本先輩も思わず顔を背けた。




