愛と呪縛 22
それにしても。
霊能力者にしても、陰陽師にしても、最近は皆、サイトで商売に繋げているのかと思うと時代を感じてしまう。
これをやらないのが、本物だということなのか。
【現代の神様 紫音の霊能鑑定】
紫音 プロフィール
1976年生まれ
出身 青森県
現在 東京都在住
職業 霊能者 透視能力者
20歳の時に神様の声を聞く、以降、霊視能力を授かる。
2010年 テレビ番組で芸能人の死を予言し話題に。
著書 「こうふくのとびら」が40万部のベストセラーになる。
載って
巫女の装いをした中年女性の写真が載っていた。
ふっくらとした輪郭と体型。
しかし、目はやたら大きく何もかも見られてしまいそうな力があった。
あー、この人も昔、テレビで見たことあるな、と思った。
タレント友達なのか?
滋岡のオフィシャルサイトと違い、ブログにコメントを送れるようになっていて、滋岡に紹介して貰った橋本だと残すと、相談の予約ページに案内され、そこで個人情報を入力しなければならなかった。
ほんとに、滋岡の言う協力者なのか?
単にカモとして紹介されただけじゃないのかと、不安になってくる。
およそ三十分後。
【明日、呪いをかけられたお友達を連れてうちのオフィスにいらっしゃい。オフィスが不安ならご近所のファミレスでも構いませんよ】
俺のメールアドレスに返信がきた。
なんとも気さくな内容で、料金のことを尋ねると、
【滋岡くんに請求するから心配しないで】
と。
二人の親しい間柄が伺えた。
彼が、何者かにかけられている呪いについて知ってるかと、それも訊いてみたが、
【そのことについては聞いてないし、協力を求められてない。子供達を守るように頼まれただけ】
とそっけなかった。
とりあえず、明日、十時に学校近くのファミレスに約束を取り付けた。
【私、煙草を吸うから、なるべく入口付近のテーブルに着いててね】
色々と不思議な人。
写真を視た限り、善人のオーラしか漂っておらず神憑りな雰囲気は感じなかった。
そのあと、ようやく滋岡に電話をかけた。
神社で竹森隆に会い、その専属陰陽師に教えられた海洋研究開発の船のこと、そして、【迷うな羊】のTwitterアカウントに正義感ある参議院議員からメールがきたこと、明日、呪いをかけられた部員を連れて【紫音】に会うことを告げた。
《急に情報量多いな……海洋研究開発の船、それは例の無人島に寄るのか?》
電話の滋岡は、まだ体調悪そうな声を出す。
「今から調べます。それよりあなたはどうなんですか? 福井でそのまま息を引き取ったりしませんよね?」
俺の毒舌には、「酷いな」と笑う元気はあるようだ。
《俺も、頭痛と幻聴の中で、一応調べてる。あのKIDSパークの元従業員にも話を訊いた》
「……それで?」
《迷子の子供を預かる部屋に、地下通路へ繋がるエレベーターがある、と》




